2016/09/23

【記者座談会】東京外環本線工事、シールド機発進へ準備/五輪見据えホテル開発ラッシュ

A 東京外かく環状道路(関越~東名)の本線建設が具体化してきた。事業連絡調整会議後、15日にはシールドトンネル機の面盤回転試験が報道機関に公開された。

B 東京外環は、練馬区の関越道大泉ジャンクション(JCT)から中央自動車道を経て、東名高速道路の東名JCTを結ぶ約16.2㎞。北行、南行の本線トンネル2本を、それぞれ大泉側から約7㎞、東名側から約9.2㎞をシールド機計4機で掘り進め、地中接合させる。
C 国内最大のシールドトンネル工事で、都内で初の大深度地下利用プロジェクトだ。公開した直径16.1mのシールドトンネル機は、関越側から掘り進む。土被りの浅い斜めの発進立坑から地中に向かって掘り始める計画だ。
D 26日には東名JCTの現場でシールドトンネル機の組み立て状況が公開される。11月には三菱重工業神戸造船所で仮組み立て試験も公開予定だ。ただ、連絡調整会議、試験公開でも国土交通省はシールド工事の発進時期や開通時期を明確にしなかった。
A それは、どういうこと。以前は2020年開通とか言っていたよね。
B 首都高速中央環状品川線の開通記念式典で当時の舛添要一東京都知事があいさつで「東京五輪開催前に開通させてもらいたい」と話した。無責任な発言に関係者は苦労したと聞いた。いまでは「早期完成」などにとどめている。
C 明確にできない理由の1つは用地問題だろう。大深度地下を利用するものの既存の高速道路などとの接続部は用地買収が必要になる。まだ、用地の問題が残っている。
B もう一点は技術的な課題だと思う。JCT部分ではランプシールドトンネルの地中拡幅が難工事となる。中央道と接続する中央JCTの構築は特に難易度が高い。大深度地下で進める国内最大規模の地中拡幅工事になるだろう。事業全体の施工工程を固めた上でトンネルを掘進させる考えだ。ただ、東名側の組み立てが始まっているので、そう遠くない時期には明確になるはずだ。
 
A リオ・パラリンピックが終わり、日本に次期五輪のバトンが手渡された。都内では20年開催に向けて、ホテルなどの民間開発も急ピッチで進んでいる。
E ホテルオークラも建て替え中だ。歴史が刻まれたホテルのため、旧施設の意匠を新本館ロビーに継承する。通称“赤プリ”の跡地を複合開発した「東京ガーデンテラス紀尾井町」が7月にオープンした。西武ホールディングスは、高輪と品川、芝公園の各ホテルも複合開発する方針だ。
F 7月には大手町で“日本旅館”をコンセプトにした「星のや東京」がオープンしたほか、三井物産と三井不動産による複合開発「(仮称)OH-1計画」に、高級ホテルの「フォーシーズンズ」が入り、20年春に開業する。オフィス街のイメージが強い大手町の印象が変わりそうだ。
E 中小規模のホテル計画も数多く、都心では土地取得競争が過熱している。土地の仕入れでは、アパグループの躍進に目を見張るものがある。
F インバウンド需要への対応という流れから地方でもホテル計画は数多い。歴史的な建物をホテルにコンバージョンするユニークな計画もある。法務省による奈良少年刑務所のコンセッション(運営権付与)では、1908年竣工の赤れんが造りを保存しながら改修し、民間事業者がホテルを運営する計画だ。北海道の小樽市や函館市、長野県松本市、兵庫県豊岡市などでも、銀行などの歴史的建物をホテルに転用している例がある。
A 既存建物の魅力を引き出して再生するのも、建設業界にとって重要な仕事だ。
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