2012/10/28

【現場最前線】大本組の富谷町明石台東地区共同開発事業体宅地造成工事

仙台市のベッドタウンとして人口増加が著しい宮城県富谷町で「富谷町明石台東地区共同開発事業体宅地造成工事」が進められている。その約40万㎡という広大な敷地の造成工事を担っているのが大本組だ。 756区画を3工区分割で施工しているもので、土工事(切盛)58万m3、道路工事7万4000㎡、ブロック積擁壁2500m、汚水工事7900m、雨水工事2800m、上水道工事9200mなど、いずれも圧倒的なボリュームだ。
 昨年4月に工事が始まる予定だったが、直前に発生した東日本大震災の影響で着工が2カ月ほど遅れ、6月にずれ込んだ。
 被災から間もないだけに、その後も震災の影響はあったが、田口勝之所長(大本組)を中心とする現場スタッフが、広大な敷地を東奔西走しながらポイントを押さえた適切な施工・工程管理を展開。その結果、工事はほぼ予定どおりに進捗し、これまでに約200区画分の引き渡しを終えた。

◇広大な敷地を東奔西走

 引き渡した区画では、積水ハウスがエネルギーの自給自足や安全・安心などをキーワードとする大型住宅団地『スマートコモンシティ明石台』を整備。鋭意、住宅の建築工事を実施している。震災後に省エネルギーや安全・安心への関心が大きく高まったこともあり、売れ行きは良好で、既に入居した世帯も多いという。
 その隣接地で同時進行で作業が行われているだけに、安全対策では特に「第三者災害に留意する必要がある」(田口所長)と気を引き締めている。
 工事の進捗率は9月末現在で43%。今後の造成区域では、約10mの盛土を含む土工事を控えている。
 さらに、他のエリアでも道路やブロック積、地盤改良など、異なる作業が輻輳(ふくそう)する状況が続く中、「分譲が好調な中、工程の遅滞は許されない。あきらめず、粘り強く、安全第一に進めていきたい」(同)と決意し、広大な敷地の隅々にまで目を光らせている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月23日 6面

Related Posts:

  • 被災地での職人、技術者不足が切実/全国建設青年会議  11月28日、東京都港区の明治記念館で開かれた全国建設青年会議。「建設業のこれから」をテーマにしたパネルディスカッションのパネリストとして出席した舩山克也東北建設業青年会会長は、東日本大震災の被災地・宮城県で阿部和工務店を経営する立場から「震災から8カ月経った今、がれきの(一次仮置き場への)集積作業がほぼ終わり、沿岸部では職人不足が切実になり、元請けの技術者不足も顕在化している。職人は、一度離れたら帰ってこない。また新規雇用しても一人前にな… Read More
  • 復興本格化で軟弱地盤改良・土壌浄化技術に熱い視線 SWP工法の概要(工法協会のHPより)  東日本大震災の復旧・復興事業が本格化する中、地下水位低下や軟弱地盤の改良、土壌浄化技術を持つ企業に引き合いが急増している。真空ポンプで地下水をくみ上げる「スーパーウェルポイント(SWP)工法」と、その原理を応用した土壌浄化技術「すっからか~ん(SKK)工法」などに引き合いが増えている。  SWP工法は、地下水面下に水面より低い水圧を負圧伝播させて地下水を揚水する地下水位低下工法。SKK工法は、海岸近く… Read More
  • 除染後の土砂、枯葉を仮置保管/福島・中島村がコンクリボックス試験採用  福島県中島村は4日、除染作業後の土砂や枯葉などをプレキャスト製のコンクリートボックスに仮置保管した。中間貯蔵施設が完成するまでの仮置き場として、大成建設や昭和コンクリート工業などが参加する「汚染廃棄物仮置保管施設研究会」の考案した保管システムを試験的に採用。同日、村有地で設置作業が行われた。  コンクリートボックスは四方が1700mm、高さが1400mm。内側に遮水シートを設置し、上から蓋パネルを連結ボルトで固定することで、外部環境と汚染廃… Read More
  • シッピングコンテナで3階建て仮設住宅 「紙の建築」や世界各地の被災地での仮設建築などで知られる坂茂氏(坂茂建築設計)が、東日本大震災の被災地である宮城県女川町で設計した仮設住宅が完成した。仮設住宅としては全国初の3階建てで、海上輸送用のコンテナを重ねるという新たな試みは、広く国内外の耳目を集めている。  同事務所では震災直後の3月から被災地などの避難所でのプライバシーを確保するため、紙管による間仕切りシステムを提供。女川町でも間仕切りに蚊帳を吊すなどの工夫を加えた。これがきっかけと… Read More
  • 「復興のリーディングプロジェクト」三陸沿岸道・宮城、岩手で相次ぎ着工 東日本大震災からの早期復興のリーディングプロジェクトに位置付けられている三陸沿岸道路の着工式が19、20の両日、宮城、岩手両県内で相次いで開かれた。震災直後から救援・救急活動や緊急物資の搬送などに大きな役割を果たした“命の道”の1日も早い全線開通と、東北全体の早期復興に向けて、関係者が気勢を上げた。  今回着工したのは宮城側が三陸縦貫自動車道登米志津川道路の志津川トンネル、岩手側は三陸北縦貫自動車道尾肝要トンネル。  19日に宮城県南三陸町志津… Read More

0 コメント :

コメントを投稿