2012/11/12

【復興】情報化施工で地域建設業を支援 宮城・岩沼市に建機施工協会WG

3Dマシンコントロールの実機で研修
ブルドーザー、バックホウなどの重機をICT(情報通信技術)で制御する情報化施工を、東日本大震災の被災地の復興に役立てようとする民間主体の取り組みが本格的に始動した。日本建設機械施工協会の情報化施工委員会の有志が立ち上げた「復興支援ワーキンググループ(WG)」(松隈宣明WG長)が、被災地の地元企業を対象に、情報化施工の支援を全面的に行っている。支援セミナーの開催や重機の増額分支援など、WGメンバーが主体となって情報化施工による復興支援を展開する。
 情報化施工は、衛星からの地理情報を基にミリ単位での土木施工が可能になる。精密なはぎ取りが必要な除染や除塩作業が簡単に行えるほか、熟練者でなくても高度な施工ができるので、オペレーター不足の解消にも役立つ。施工スピードも上がるため、道路インフラなどの早期復興にも寄与する。

座学も行った
WGはこれらのメリットを伝えるため、津波被害に遭った宮城県岩沼市で、11月初旬に支援セミナーを開いた。セミナーでは、情報化施工のベテランが講義したほか、国内最先端の情報化施工機器がメーカーの垣根を越えて結集した。約50人の参加者は、ブルドーザーやバックホウの実機に乗車し、情報化施工機器への理解を深めた。
 WGは、重機、測量機器メーカー、GPS(全地球測位システム)関連、レンタル建機などの民間会社が集まって立ち上げた。当初、測量機器メーカーが、震災復興に役立てるために自前でGPS固定局の設置を提案したのが発端だ。
 その後、手弁当で月2回程度の会合を重ね、内容説明やQ&Aを紹介するホームページなどを立ち上げ、岩沼でのセミナー開催までこぎ着けた。
 現地では「チャレンジ業者」も募集、機器の設置費用などをメンバーで負担するほか、データ作成講義、重機トレーニングも、WGメンバーが手分けして担当する。
 WGの石毛克典トプコンスマートインフラ・カンパニー国内グループ課長は「民間側からのボトムアップで被災地域に情報化施工を生かした復興をしてもらいたい」と、グループの活動を話す。グループでは来年4月ごろに、2回目のセミナーを開く。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月12日2面

Related Posts:

  • 【民間復興】地元企業のホテル建設に大臣認定 作業員の宿泊施設にも 国土交通省は11日、岩手県大船渡市で民宿を経営する「海楽荘」が進めている(仮称)大船渡温泉新築工事を、都市再生特別措置法に基づく民間都市再生整備事業計画として大臣認定した。これにより、民間都市開発推進機構の金融支援などが受けられるようになる。東日本大震災の被災地で、地元中小企業による民間復興プロジェクトが大臣認定されたのは初めて。 この事業では温泉施設を備えたホテルを建設する。港湾などの復興工事の本格化に伴う宿泊施設不足を改善するほか、宴会… Read More
  • 【津波対策】“ねばり強い防波堤”が浸水、到達状況に効果あり 津波シミュレーションの動画を紹介する青野利夫「津波に耐える技術」WGリーダー 日本建設業連合会海洋開発委員会(委員長・毛利茂樹東洋建設社長)の津波対策専門部会(前田涼一部会長)は、2011年度に設置した津波対策専門部会の最終報告をまとめた。防波堤をねばり強い構造に改良し、1mかさ上げすれば、最大で15分程度、津波の到達を遅らせ、浸水深さも最大2.7m程度下げられるとのシミュレーション結果を提示した。これらを含め、津波避難施設整備や避難訓練… Read More
  • 【孤児・遺児の家】子どもの村東北、JIA東北の全面支援で着工 完成予想模型 NPOこどもの村東北(理事長・飯沼一宇前石巻赤十字病院長)が仙台市太白区に建設する子どもの村東北のセンターハウスが24日、仙台市太白区茂庭台の現地で鎌内工務店の施工で着工した。日本建築家協会(JIA)東北支部が全面的に支援しており、同支部復興支援委員長の松本純一郎氏がマスター・アーキテクトを務め、センターハウスの設計は針生承一建築研究所が担当した。9月末の完成を目指す。 子どもの村東北は、世界133カ国で活動しているNGO「… Read More
  • 【命の道】高田道路が全線開通 陸前高田市、大きな一歩踏み出す 全線開通を祝いテープカット 震災の津波により中心市街地が壊滅した岩手県陸前高田市。その津波浸水区域を回避した“災害に強い”交通ネットワークを形成する三陸沿岸道路「高田道路」が23日に全線開通した。翌24日には住宅の高台移転と連携したかさ上げによる被災市街地の再生を加速させる巨大なベルトコンベヤーが土砂搬送を開始。甚大な被害からの本格復興へ確かな一歩を踏み出した。 ◆高田道路が全線開通  高田道路は復興のリーディングプロジェクトに位置付けら… Read More
  • 【震災記録誌】『俺たちが地域を守り復興を果たす』発行 宮城建協 宮城県建設業協会(佐藤博俊会長)は、東日本大震災記録誌の第2弾となる『宮城県建設業協会の闘い2-俺たちが地域を守り復興を果たす』を発行した=写真。現地写真や復興工事に携わる会員企業の技術者らのインタビューなどを通し、現場のいまと地域建設業の本当の姿を伝えている。 記録誌は2000部作成。宮城県内の図書館や学校、関係自治体などに配布する。近く、協会ホームページにも掲載する予定。同協会は、震災の経験や復旧・復興の実態を記録に残し、全国や後世に伝… Read More

0 コメント :

コメントを投稿