2012/07/27

世界初の連結型蓄熱槽でピーク電力55%OFF 東京電機大の千住キャンパス

校舎内のシャフトに設けられた蓄熱槽
東京電機大学は、東京千住キャンパス(東京都足立区)にヒートポンプ蓄熱システムと最先端の省エネルギー技術を使い、ピーク電力を55%削減することに成功した。夏季にピーク電力を迎える平日の昼間2時の7月の開校日平均実績は1500㌔ワットで、蓄熱システムを導入しなかった場合の試算と比べると約40%減、約1000㌔ワット減り、キャンパス全体に施した各種エネルギー技術を導入しなかった場合と比べると約55%減、約1900㌔ワット減になったという。

 キャンパスは、午後10時から午前8時のうちに約2万4000㌔ワット時の熱量を、冷水として世界初の連結縦型蓄熱槽に蓄熱するとともに、氷として氷蓄熱槽に蓄熱することで昼間の空調用電力量を大幅に節電している。
 東京都の理工系大学の延べ床面積とCO2排出量の関係によると、平均値は年間1㎡当たり79・8㌔だが、千住キャンパスの目標値は37・0㌔を目指している。この値は建物と意匠が同一で省エネ対策を施さなかった場合の想定値と比べてCO2排出量48%削減を目指すものだという。
 東京電機大学の常務理事で新キャンパス創設本部長を務める射場本忠彦未来科学部建築学科教授は、「この目標値に向けて、今後は東京都内の理工系大学のトップランナーの実現に向けた取り組みを継続的に実践していく」とともに、「データ取りの例が少なく、実使用下の状況が不明瞭なものが多いことから、1分間に約6万5000点というBEMS・計測ポイントのデータを公開していく」と話している。
 連結縦型蓄熱槽は、タンクを縦に連結した形をしており、氷水槽と冷温水槽の2系統ある。氷水槽は夏季は零度の氷水、陶器はセ氏7度の冷水をため、冷温水槽は夏季は2度の冷水、冬季は35度の温水をためる。

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