戸田建設は、北里研究所、サムスン電子、マイクロウェーバー(広島県三原市)と共同で、ウイルス殺菌効果がある「トリオシン」と呼ばれる特殊フィルターを使った除菌空調システムを開発した。既存空調機の吹込口にフィルターと、イオン発生装置を設置するだけで、100%に限りなく近い除菌効果が得られる。院内感染の有効な対策技術として、病院や老健施設を中心に提案する。
システムは、トライオメッド社製のトリオシンフィルターと、サムスン電子が開発したイオン発生装置「S-Plasma ion」を組み合わせた。北里研究所が行った黄色ブドウ球菌による実験によると、空調開始から30分後には99・82%の除菌効果を得ることができた。
通常の除菌空調システムで使われているフィルターは、空気中のほこりに付着した細菌やウイルスを閉じ込めることで除菌するが、定期的にフィルター交換が必要で、メンテナンス費用が負担だった。トリオシンフィルターは病原微生物を酸化殺菌するため、既存フィルターの上に取り付けることで、交換回数を大きく減らすことができる。
同社によると、既存空調に取り付けた際にはランニングコストが4割程度削減できる。システムは新築に加え、既存改修時の提案としても積極的に展開する方針。医療施設だけでなく、学校や店舗、住宅でも活用できるとしている。現在はトリオシンフィルターだけで除菌空調が可能になるよう、フィルター自体の改良を進めているほか、部分除菌用に天井ユニットの開発も行っている。
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