2012/03/29

電力が東電だと値上がりか! 料金値上げで鉄筋価格が上昇へ

電力会社によって原価が変わる可能性が(写真と本文は関係ありません)
 電気料金の値上げで、棒鋼(鉄筋)の価格上昇が懸念され、他の建設資材にも影響が出てくる--。東京電力から電力供給を受ける電気炉メーカー各社は、電気料金の値上げに困惑を隠せない。東電から供給を受けるメーカーと、他の電力会社から供給を受けるメーカーでは価格差が生じるという“地域間格差”と、東電との契約期間が異なるという“地域内格差”により、経営が大きく左右されるからだ。

 電気炉メーカーによると、企業向け電気料金の17%値上げによって、1t当たり2,000-3,000円のコストアップになるという。1t当たり2,000円の価格差は、他の電力会社から供給を受ける電気炉メーカーが棒鋼(鉄筋)を首都圏に搬送する輸送コストを大幅に上回り、競争にならないと頭を抱える。原子力発電所の稼働停止、原油価格の上昇などは各電力会社とも共通で、「他の電力会社も値上げに追随すると思われるが、タイムラグがある。その影響も軽視できない」という。
 また、東電との契約期間の問題もある。契約はメーカーごとに異なり、例えば4月から新料金となるメーカーと、7月からのメーカーでは、3カ月のずれがある。この3カ月の違いが大きく、「“地域間格差”に加え、“地域内格差”が生じてくる」と指摘する。
 コストアップを価格に反映するにも、「一度に2,000円アップとはいかない。需要家に数百円単位で、数回に分けて値上げを要請していくしかない」ことも、経営に大きく影響する。
 電気炉メーカーは、電気料金の安い深夜電力を使用して棒鋼などを製造している。その深夜電力の割引が、原子力発電所の稼働停止によって、なくなるのではないかと危惧(きぐ)する声もある。
 さらに、あるメーカーは、電気料金の値上げによる棒鋼価格の値上げは、「ゼネコンなどの海外調達を加速させる可能性がある」とし、韓国メーカーなどの参入も危惧している。「韓国は日本に比べて、電気料金が格段に安い。品質的には、まだ国内メーカーが勝っていると思うが、指摘を受けて改良・改善が進めば、品質は上がってくる。海外メーカーとの競争も考えておかなければならない」と指摘する。


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