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勝目氏 |
同社が中心となり、パイプドビッツ(東京都港区)、ネクストシステム(福岡市)、エムエム(同)との共同事業としてクラウドサービスの立ち上げを発表したのは2011年11月。建築プロデュースやBIMコンサルとして活動する同社は、メーカー側にヒアリングする中で、製品情報の標準フォーマットづくりにも力を注いできた。
アーキシンフォニーは、メーカーから3次元の製品情報を提供してもらい、それを設計者や施工者が無償で利用できる仕組み。BIM対応の製品カタログをクラウド上で取得できるサービスだ。オートデスクの「Revit Architecture」やグラフィソフト「ArchiCAD」といったBIMツールにプラグインしてサービスを提供する。ダウンロードした製品データは、設計図面にそのまま反映でき、概算コストを把握することも可能だ。メーカーは公開情報の量に応じ運営者側に料金を支払う。
◇メーカーの3Dパーツを提供
「ツールを使いこなせても、コンテンツ(3次元パーツ)が整っていなければBIMは実現できない。設計事務所がBIMに乗り出す際、3次元のライブラリー作成は手間となり、経費負担にもなっている。クラウドサービスの成功はメーカー側からどれだけ情報提供を受けられるか。まずは各分野のトップメーカーの製品情報を充実していきたい」
4月末をめどにサービスを開始する予定だが、まだクリアすべき課題はある。「特に公開情報の密度をどのレベルに設定するかが難しい。設計図面で製品データが使われても、実際に受注が決まっていない。日本ではこうしたケースが多いため、最初から詳細な情報を公開しにくい。そこで契約が確定した段階で、密度の濃い詳細なデータを提供するような仕組みを考えている。日本の商慣習に合ったBIMクラウドを実現するには少し時間がかかるだろう」
単に設計者や施工者などに製品データを提供するだけでなく、メーカー側への要望を受け付けるコミュニケーション機能や、新たな製品データを求めるリクエスト機能も盛り込む。「いずれは英語など外国語バージョンのシステムも運用する予定で、メーカーの海外対応ツールとしても機能させたい」
◇建築とITで意気投合
運営母体の同社には、事業パートナーとしてクラウド専門のパイプドビッツが下支えしており、11年12月には事業資金として5000万円の増資も受けた。佐谷宣昭パイプドビッツ最高経営責任者(CEO)は九州大学建築学科で都市計画を学び、IT(情報技術)の世界に身を投じたこともあり、「互いに建築とITに興味を持っている」点で意気投合した。
「佐谷CEOの支えもあり、サービス開始のめどが立った。BIMの進展が著しい日本は今まさに移行期に当たるだけに、中小の設計事務所や建設会社がBIMを気軽に導入できる環境を整える必要がある。その役割をわれわれが担う。将来的には竣工後の維持管理も含めたBIMクラウドサービスとして定着させたい」
同社の会社概要
▽設立=1998年9月7日
▽社員数=9人
▽本社所在地=福岡市中央区赤坂1-5-2
Able赤坂3F-E1
▽電話=050-5532-6536
▽ファクス=03-4578-9478
▽資本金=1,250万円
▽URL=http://www.paper-less-studio.com/
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