2012/03/21

最優秀賞に千葉大の福井さん 第24回千葉県建築学生賞が決定

『衰退する風景のためのスタディ』
 千葉県内の建築関係4団体は、16日から18日まで第24回千葉県建築学生賞を千葉市中央区のきぼーるで開いた。大学生の部は、最優秀賞に千葉大工学部都市環境システム学科の福井亜啓(あたか)さんによる『衰退する風景のためのスタディ』が輝いた。

 大学生の部は、千葉大(2学科)と日大(同)から各4作品、東京電機大(同)から3作品、千葉工業大(1学科)と東京理科大(同)から各2作品の計15作品が提出された。17日に公開プレゼンテーションと公開ヒアリングを経て、公開審査で決めた。
 最優秀賞のほか、優秀賞には、日大理工学部海洋建築工学科の石原幹太さんの『月島ブリコラージュ-東京都中央区月島地域における複合集合住宅の提案-』、千葉工業大工学部建築都市環境学科の中島康一朗さんの『更新するダムの記憶-廃ダムから建築へ-』の2作品を選定。日大生産工学部建築工学科の本橋亜美さんの『繋-人と心を記憶を』、東京電機大未来科学部建築学科の白井美里さんの『農村は層に包まれる』、千葉大工学部建築学科の西山芽衣さんの『谷中家』の3作品は特別賞となった。
 JIA全国大会に出展する作品は、福井さん、中島さんの作品と、日大理工学部海洋建築工学科の渡部亘さんの『結ぶ言築-高レベル放射性廃棄物最終処分場と保存の提案-』の3作品を選定した。
 18日の表彰式で柳田富士男審査委員長は、「震災後、学生諸君が何を考えているか期待していた。ことしの学生賞は一つひとつの作品が見事に応えてくれている。既成概念に対する新鮮な切り口が素晴らしかった」と総評。最優秀賞の福井さんの作品については「衰退する風景に最小限の手を加えて残していくという、うまい詩的な表現だった」とたたえた。
 福井さんは「時間をかけて丁寧にコメントをいただいた。自分の考えてきたことを見つめ直すことができてよかった。こういうかたちで評価をいただけてうれしい」と喜びを語った。
 このほか、高校・専門学校の部は、7作品の中から金賞には県立東総工業高校建設科の野口樹さんの『いいおか』、銀賞に県立市川工業高校建築科の高山香織さんの『Concert Hall~地域と人々と音楽~』、銅賞に同高校インテリア科の畠中忍さんの『Create in Cottege』と県立京葉工業高校建設科の廣居俊さんによる『地域の交流 心のふれあい~図書館と公民館の複合施設~』を選定した。
 主催団体は、千葉県建築家協会(櫻井修会長)/日本建築家協会千葉地域会、千葉県建築士事務所協会(荻原幸雄会長)、千葉県建築士会(青柳英俊会長)、日本建築学会関東支部千葉支所(麓佳正支所長)。


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