2012/03/09

設計は丹下事務所 シンガポール市民の義援金で陸前高田に交流ホール計画

津波で被災した陸前高田の市役所
 東日本大震災で中心市街地のほぼ全域が津波により浸水・流失し、都市機能が壊滅した岩手県陸前高田市。震災からほぼ1年経過したいまもかつての中心市街地には生活の息吹が感じられないままだ。こうした中、市民が安心して集い交流できる場をつくろうという動きが本格化する。防災センター機能も備えたコミュニティーホールを建設するもので、シンガポール市民からの義援金約7億円が建設費に充当される。設計は駐日シンガポール大使館の推薦を受けた丹下都市建築設計が担当する。17日には同市内で事業開始に当たっての着工セレモニーも予定されている。

 シンガポールでは、東日本大震災の復旧・復興に約3,450万シンガポールドル(約22億円)もの義援金がシンガポール赤十字社に寄せられたという。その活用方法を知りたいという市民の声を受け、同赤十字社では支援する復興プロジェクトを決めるため、駐日大使館や被災自治体などと相談。この中で、陸前高田市が計画していたコミュニティーホールの建設に義援金の一部を活用することとした。
 市は建設に当たって復興交付金も活用する考えで、2012年度では設計とともに土地造成を進める予定だ。規模は未定。建築着工は13年度となる見込み。建設地は市高田町栃ケ沢の高田西地区復興整備事業エリア約10haの一角で、周辺には消防署や災害公営住宅なども整備する予定となっている。
 シンガポール大使館のローレンス・ベイ主席公使は「施設は津波の経験を生かし海抜50mの高台に造られる。一日も早く建設し、復興に向けて一歩でも前に進めるよう願っている」と話している。

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