2012/03/27

宮城県の亘理処理区がれき処理施設が初の火入れ 山元処理区は5月本格運転へ

 宮城県が被災市町から受託した災害廃棄物処理業務で初めての火入れ式が24日、亘理名取ブロック(亘理処理区)の2次仮置き場で開かれた。大林組・戸田建設・鴻池組・東洋建設・橋本店・深松組・春山建設JVが建設を進めてきた焼却炉5基のうち3基が完成したもので、4月2日から本格的な処理を開始する予定だ。運転期間は約19カ月で、2014年1月下旬の処理完了を目指す。
 委託処理量は災害廃棄物が約86万4000t、津波堆積物は約60万9000m3。昨年11月の工事着手から約4カ月で、亘理町吉田字砂浜の2次仮置き場に、焼却炉のほか、混合廃棄物と木くず、コンクリートの破砕・選別設備、津波堆積物選別設備などを整備した。

 焼却炉は、木くずや流木の処理に適しているチェーンストーカ炉を採用。1日当たりの処理能力は525t(105t×5基)で、分別後に発生する可燃ごみ約22万tを焼却する予定だ。5基を並列に配置し、灰搬出装置や燃料タンクを共有することで設置面積の縮小や作業の省力化を図っている。
 火入れ式では、関係者約100人が見守る中、小泉保県環境生活部長や齋藤邦男亘理町長、金井誠大林組副社長執行役員らが焼却炉のスイッチを押し、火を入れた。
 席上、小泉部長は、「県が受託した2次処理業務で初めての火入れを迎え、本格的なスタートになる。地域の方々が懸念している焼却灰の放射能問題についてもJVと連携し、しっかりと対応していきたい」と語った。齋藤町長は、「膨大な量のがれきと、目を覆うばかりの惨状を前に、収集や処理への焦りの気持ちが大きかったが、焼却炉が完成したことで、ようやく見通しがついた」と話した。
 これを受けて、大林組の金井副社長は、「安定的な焼却には機械のメンテナンスが重要だ。最大で250人の町民の皆さんとともに作業を進めていくが、労働災害や交通災害の防止、放射線対策を徹底し、1日も早く作業を完了させ、町の再生に貢献したい」と力強く語った。

◇山元処理区では安全祈願祭

 宮城県災害廃棄物処理業務亘理名取ブロック(山元処理区)の安全祈願祭が24日、山元町高瀬字浜砂の2次仮置き場で開かれた。業務はフジタ・東亜建設工業・青木あすなろ建設・大豊建設・本間組・河北建設・佐藤建設JVが担当し、2013年度中の処理完了を目指す。
 委託処理量は、災害廃棄物が約50万7000t、津波堆積物は約41万m3。2次仮置き場(敷地面積約12・8ha)には、ロータリーキルン炉(処理能力200t/日)とストーカ炉(同100t/日)の焼却炉2基を設置。4月中旬にも火入れを行い、5月から運転を開始する予定だ。
 分別した災害廃棄物のうち、木質チップは場内の木質バイオマスガス化発電・熱供給量システムに使用。発電量は一般家庭30軒分に相当し、業務完了後には町に提供する予定だ。土砂やコンクリートがらなどは、町内の復興資材などにリサイクルしていく。
 この日の神事には、小泉保県環境生活部長、齋藤俊夫山元町長、上田卓司フジタ社長ら関係者約100人が出席。代表者が神前に玉ぐしをささげ、業務期間中の無事故・無災害を祈った。
 席上あいさつに立った小泉部長は、「誰しもが未経験の作業なだけに、さまざまな問題の発生が予想される。全員の力を結集し、一人の負傷者も出すことなく円滑に処理を進めてほしい」と語った。齋藤町長は、「震災がれきは町の年間排出量の140年分に相当し、復旧・復興には避けて通れない課題だ。安全管理に留意して1日も早く処理を完了させてほしい」と述べた。
 これを受けてフジタの上田社長は、「場内の基盤整備や焼却炉建設が最盛期を迎え、来月には処理作業が本格化する。『がんばろう!山元』を合言葉にJV一丸となって業務に取り組み、無事故・無災害で1日も早い町の復興に貢献したい」と決意を語った。


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