北海道新幹線新青森~新函館間の新茂辺地トンネルが貫通、26日に北斗市のトンネル坑内で施工JV主催による貫通式が開かれた。これにより道内区間に新設されるトンネル6本すべてが貫通したことになる。当日は発注者や施工者、地元関係者ら約200人が集まり、貫通の喜びを分かち合った。施工は東工区が熊谷組・東急建設・札建工業JV、西工区は大林組・宮坂建設工業・松本組JVが担当している。
午前10時30分からの式典では、はじめに発注者である鉄道建設・運輸施設整備支援機構の高瀬昭雄北海道新幹線建設局長が西工区側から貫通掘削を命令。すでに完成している東工区側から光が差し込み無事貫通した。貫通点清めに続き、貫通点で関係者らががっちり握手、万歳三唱し貫通を祝った。
発注者を代表してあいさつに立った高瀬局長は「西工区は陥没帯での難工事を克服し貫通にこぎ着けた。東工区は坑口での自然災害で工事が一時中断したものの、無事掘削を終えた。両JVの努力に改めて敬意を表したい」と施工の労をねぎらった上で「今回の貫通でトンネルがすべて貫通した。今後は明かり区間での工事が主体となる」と語った。その後、樽神輿(たるみこし)が担ぎ込まれ、盛大に鏡開きが行われた。
また、施工者を代表して大林組の田實耕一札幌支店長が「本日、無事故・無災害で貫通を迎えることができ無上の喜びだ。残り工事を無事に終えるべく新たな決意で臨みたい」と完成への意気込みを表明した。
2007年11月に着工した新茂辺地トンネルは、道内区間のトンネル6本中2番目に長い3345m。東工区と西工区の両押しで掘り進んだ。東工区(2695m)は路盤工事も終え昨年12月に完成している。西工区はトンネル650m、盛土路盤と橋梁417mからなり、今後坑内のインバートや二次覆工、明かり部分の工事を進め、13年3月の最終完成を目指す。
東工区・堂藤和雄JV所長(熊谷組)のコメント 「200m掘り進んだ時に坑口が土砂崩れで埋まったため、横坑を掘り直し3カ月かかって本坑の掘削を再開した。その後は順調に進み予定どおり完成できた。掘削土砂は場外へ持ち出さず、本線の盛土に使うなど現場内ですべて処理した。環境面でも、海が近いので水処理に配慮して進めた」
西工区・中野俊秀JV所長(大林組)のコメント 「坑口が道道の真上に位置するため、最初にボックスカルバートを構築し盛土してから掘削に取りかかった。坑内の中ほどに陥没帯が存在し大量の地下水が湧出したため、水抜きボーリングなどを実施して排水し慎重に掘り進めた。工事はすでに全体の80%まで進捗している。今後、残工事を進め、工期内にしっかり完成させたい」
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