2012/03/26

陸前高田市で丹下事務所のコミュニティーホール計画が始動

コミュニティホールの模型
 東日本大震災で甚大な津波被害を受けた岩手県陸前高田市の地域コミュニティー再生に向けたプロジェクトが本格始動した。市の仮設庁舎西側にある山地を対象とした高田西地区復興整備事業地内に、防災拠点機能も備えた施設として建設する「(仮称)陸前高田市コミュニティーホール」だ。シンガポール赤十字社が創設した「ジャパン・ディズァスター・ファンド2011」から建設費の一部として約7億円の支援を受ける。
模型を前に丹下社長(左)がプラン説明

 高田西地区のマスタープランは丹下都市建築設計で策定。コミュニティーホールの設計も駐日シンガポール大使館の推薦を受けて担当する。
 高田西地区には広場を中心に、コミュニティーホールのほか、消防署、警察署、災害公営住宅、多目的グラウンドなどを配置する計画。ホールは、多様な活動を可能とする多目的ホール機能と各種団体・サークルの集会や生涯学習の場となるコミュニティー機能の2つのボリューム、それをつなぐ大きな屋根で構成。広場に開かれたエントランスホールには展示ギャラリーや休憩スペースも設ける。
 屋上は展望スペースともなる空中庭園とし、ヘリポートやソーラーパネルの設置など防災拠点施設としての利用も考慮。隣接する消防署と屋上面で接続させることで円滑な連携を可能とする。
 現時点では敷地面積は約8000㎡、延べ床面積は約2500㎡を想定。設計に当たっては、地元の気仙杉材を活用した温かみのある空間とともに、気仙大工の技巧などをイメージさせる、ここでしか表現できない空間を提案するとしている。
 17日には事業開始を祝う「グラウンド・プレキング・セレモニー」が、シンガポールのマサゴス・ズルキフリ国務大臣ら同国関係者が多数出席して市役所内で開かれた。席上、戸羽太市長はシンガポールからの支援に謝意を示した上で、「子どもから高齢者までが気軽に利用でき、地域に愛される施設にしていきたい」と語り、ズルキフリ大臣も「このホールはシンガポール赤十字社が集めた寄付による復興プロジェクトの中で最大のものになる。市民のニーズに応え、シンガポールと日本、陸前高田市との強い絆の揺るぎないシンボルとなることを願っています」と期待を寄せた。丹下都市建築設計の丹下憲孝社長によるプレゼンテーションや記念植樹も行われた。

『建築と都市―デザインおぼえがき』 丹下健三著 AmazonLink

Related Posts:

  • 【東北地域づくり協】アニメ映画『未来に向けて-防災を考える-』完成! 制作は虫プロ  東北地域づくり協会(渥美雅裕理事長)が虫プロダクションと制作を進めていたアニメーション映画『未来に向けて-防災を考える-』が完成した。9月7日から仙台市で開かれる土木学会全国大会で一般公開するほか、防災教育ツールとして広く上映していく方針だ。画像は「学ぶ(釜石市)」より   (一社)東北地域づくり協会・虫プロダクション(株)  映画は「1000年に1度」と言われる地震・津波の体験を風化させることなく、後世に確実に継承しようと制作した。 … Read More
  • 【西松建設ら】6回目の「ひまわりプロジェクト」 復興願って名取市の閖上に4200株植樹  西松建設などが取り組む震災復興・環境緑化支援事業「ひまわりプロジェクト2016」が18日、宮城県名取市内で開かれた=写真。6回目となる今回は、会場をこれまでの美田園駅前から閖上に移し、参加した同社社員と協力会社の関係者を始め、ボランティアや地元住民ら約300人が、首都圏の一般家庭や学校などで育てた約4200株の苗木を、思いを込めて植樹した。  主催者を代表してあいさつした西松建設の近藤晴貞社長は「この地では、かさ上げ工事が行われており… Read More
  • 【日建連】除染の取組みをパンフで紹介! 具体的なデータでリアルな現場を伝える  日本建設業連合会(中村満義会長)は、東日本大震災に伴う除染工事に携わる会員各社の取り組みをPRし、復興の加速化を後押しするため、「復興に向けた除染へのさらなる取組み」と題したパンフレットを作成した=写真。計5000部を近く会員企業の現場や環境省、復興庁の出先などに配布する。  パンフレットは16ページで、2016年度末の完了を目指している国直轄除染工事で会員各社が総力を挙げて取り組んでいる姿などを具体的なデータを交えて紹介している。 作… Read More
  • 【日本国土開発】宮古市の特産物販売で復興支援! 本社前で「ミヤコマルシェ」開催  日本国土開発は24日、東京都港区の本社前で「岩手県宮古市物産会(ミヤコマルシェ)」を開いた=写真。東日本大震災の復興支援の一環で、本社での開催は昨年に続き2回目。塩サイダーやあたりめ、干しいもなど宮古市や周辺地域の特産物約30種類を販売した。同社社員のほか、周辺企業の社員、近隣住民らが詰め掛ける盛況ぶりだった。  日本国土開発は、宮古市が復興計画の重点施策に掲げている「宮古市スマートコミュニティ事業」に参画しており、エネルギーの地産地消… Read More
  • 【川田工業】復興の歩み、DVDに 石巻市の新北上大橋災害復旧工事を記録  川田工業は、宮城県東部土木事務所が発注し、同社が施工を担当した新北上大橋災害復旧工事の記録DVDを作成した。写真は車両道開通式  宮城県石巻市北上町を流れる北上川に架かる新北上大橋(長さ565.7m、幅10.2m、2+2+3径間下路式鋼トラス橋)は、東日本大震災に伴う津波で近隣にあった大川小学校とともに被災し、左岸側2径間が流出。地域の大動脈となっていた国道398号が寸断されたことにより、約23㎞の迂回走行を強いられ、救命活動や復興事業… Read More

0 コメント :

コメントを投稿