AAST国際ワークショップ組織委員会は、アルゴリズミック・デザインやデジタルファブリケーションの可能性を探るシンポジウムを開いた=写真。同分野に最先端で取り組む建築家が集まり、新しい建築、ものづくりの可能性を示した。
同ワークショップ(WS)は2011年9月、デジタルファブリケーション技術を使って「被災地用シェルター」をつくった。WSでは、材料の切り出しから組み立てまでを短期間で終え、コンピューターが実際の建築につながり得ることを確認した。
陣頭指揮をとった池田靖史慶大大学院教授はシンポジウムで「WSでは新しい時代の始まりを感じた。このテクノロジーが建築を変える可能性がある」と述べ、「感覚と思考の間をつなぐことが本質だ」とコンピューターの使い方を強調した。
金田充弘東京芸大准教授は、ものづくりにスポットを当て「単にデジタルファブリケーションを使ってみるだけでなく、『本当につくりたい』という欲望が大きな違いを生む。触感など五感に感じるものづくりが非常に重要」と述べた。また、デジタルファブリケーション技術について「長い間、設計者はものをつくらない職業になってしまっているが、この技術によってつくることへの敷居がなくなる。設計者のデザインプロセスが、つくることに踏み込んでいけば、建築は変わる」と、コンピューターを使うことが、手を動かしてつくることにつながる可能性を示唆した。
WSに参加して作品をつくり上げたアンズスタジオの竹中司代表は「コンピューターを使えば、見えないモノが見える。30年、40年後に場所や建築がどのように変化するかを考えながらつくることができる。『こうしたい』という思いがなければ単なるシミュレーションになってしまう」と説明した。
『アルゴリズミック・デザイン―建築・都市の新しい設計手法』日本建築学会 AmazonLink
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