2012/04/05

ソーラー・デカスロン・ヨーロッパ2012に出場する千葉大の「おもてなしハウス」が完成

「おもてなしハウス」
 ことし9月にスペイン・マドリードで開催されるソーラー・デカスロン・ヨーロッパ2012で千葉大が提案する「おもてなしハウス」が同大西千葉キャンパス内に完成、一般公開された。マドリードの大会では10日間で実際に住宅を建てて審査を受けるため、その“予行演習”として今回、キャンパス内での建設となった。公開に合わせて行われた会見で学生代表の田島翔太さんは「模型で考えていたものとおおむね同じものができたと思う」とするとともに「いい結果、報告をできるよう頑張りたい。グランプリを取る」と抱負を語った。

◇国際建築コンペ

 ソーラー・デカスロンは、生活に必要なすべてのエネルギーを太陽光でまかなう延べ約70㎡の住宅(2人家族)を計画し、実際に建設する大学対抗の国際建築コンペ。わが国では今回の千葉大が初めての参加。しかも、初参加で初本大会進出となる。チームの代表を務めるのは千葉大大学院工学研究科の川瀬貴晴教授と栗生明教授の2人。
 マドリードでは、千葉大を含め世界15カ国から20チーム27大学が省エネ性能、デザイン、サスティナビリティー、市場性、コミュニケーションなど10項目の審査項目でグランプリを競う。学生主体のコンペとはいいながら国を挙げてのバックアップを受けて出場するチームもあり、田島さんは「われわれも日本の代表という気持ちで参加している」とする。
 また、参加にあたっては積水ハウスやカネカ、三井不動産など多くの企業、団体、行政の支援・協力があり、今回の建設も、支援・協力企業の指導を受けながらチームの学生メンバー約30人で施工した。着工したのは2011年12月。学生副代表の伊藤聡美さんは「ビス1本とっても、20mmのものを使うのか30mmのものを使うのかで違う結果が出てくる。机の上で学べないことを学べたと思う」と振り返る。北村彰英工学部長も「おもてなしハウスをつくりあげるというその過程そのものが、学生の教育に非常に効果があった」とする。

◇国内メーカーがスポンサー

 プロジェクト開始当初からのメーンスポンサーを務めてきた積水ハウスの平林文明取締役専務執行役員は、「マドリードにも4―7人を派遣し、施工指導の面で全面協力する」と支援を約束。このほか、カネカは、太陽電池、断熱材、有機EL、畳、ユニットフォームを提供している。
 「おもてなしハウス」は、日本が古くから培ってきた「おもてなしの心」を21世紀の都市と暮らしに求められる新たなコンセプトとして解釈し直し、これからの都市環境やエネルギー、都市の中の農的な暮らしなどを考慮した次世代型住宅。「SUN:Health and Sustainability」「Nature:Life with Plants」「Engawa:Link to Outside」の3つの視点を設定、総合大学としての特色を生かし、工学部のみならず医学部、農学部などの研究成果も取り入れ、食と農、健康と環境などをトータルに考慮した提案。


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