2012/04/05

特別賞含め4作品を選定 建築学会九州支部の建築九州賞が決定

「T・house in 高森」
 日本建築学会九州支部(藤本一壽支部長)は、2011年度第5回建築九州賞(作品賞)に、住宅部門で「T・house in 高森」(設計=西山英夫建築環境研究所)、一般建築部門で「諫早市こどもの城」(設計=池田設計、千葉学建築計画事務所)と「こもれびの舎(いえ)保育園」(設計=Inter Media一級建築士事務所)を選定した。また、JIA特別賞には「熊本駅西口駅前広場」(設計=佐藤光彦建築設計事務所)が選ばれた。5月25日の支部通常総会で表彰式を行う。

 建築九州賞は、九州地方の地域性に立脚し、九州の建築文化や環境形成の向上に貢献した優秀な作品を顕彰するもので、日本建築家協会(JIA)九州支部、沖縄支部との共催で創設した。今回は住宅部門35作品、一般建築部門33作品の応募があり、設計者のプレゼンテーションによる2次審査、現地視察およびクライアント、設計者に対するヒアリングによる3次審査を経て、受賞作品を決定した。審査は、同賞選考部会(常岡稔部会長)が担当した。
 審査講評では、「T・house in 高森」は、建築主のライフスタイルを反映して設計は極限までシンプルにまとめられている。極限の機能性と建築費低減を追求しながらも遊び心があり、建物の表情と生活空間の豊かさを醸し出している。「ここに作者の高い力量を感じる」と評価した。
 「諫早市こどもの城」は、山の稜線になじむように配置された平面に、ランダムに勾配が異なる屋根が架けられ、空間を適度に分節している。室内の屋根勾配に沿ったさまざまな天井が、大空間の遊びスペースをダイナミックで変化に富んだものにしている。「さりげなく、奇をてらうことなくダイナミズムを感じる建築を表現している」と評価した。




 「こもれびの舎保育園」は、固定化された保育室、遊戯室などを持たないオープンスクール形式の保育園。活動度に応じた適正な機能が配置され、フレキシビリティーを持つ空間としてうまく使いこなされている。既成概念にとらわれない明快なコンセプトと挑戦的で面白いプログラムが「子どもたちを健やかに育むことができると素直に感じとれる、本賞にふさわしい建築である」と評価した。


 「熊本駅西口駅前広場」は、スクリーンという新しい手法による統一感のあるデザインで、従来の画一的駅前広場と全く異なった空間をつくり出している。また、熊本という地方都市、さらに副次的駅前広場(メーンは東口)の特性に適したスケール感をもち、分かりやすく親しみやすい駅前広場とした点も評価した。




 受賞作品の概要は次のとおり(①建築主②設計者③施工者④建設地⑤竣工年月⑥用途)。
 〈住宅部門〉
 ▽T・house in 高森=①個人②西山英夫建築環境研究所③ウエダホーム④熊本県高森町⑤10年3月⑥戸建住宅。
 〈一般建築部門〉
 ▽諫早市こどもの城=①諫早市②池田設計、千葉学建築計画事務所③大進建設・野田建設JVほか④長崎県諫早市⑤09年2月⑥児童福祉施設。
 ▽こもれびの舎(いえ)保育園=①社会福祉法人さゆり会②Inter Media一級建築士事務所③西津建設④長崎県五島市⑤10年3月⑥保育所。
 〈JIA特別賞〉
 ▽熊本駅西口駅前広場=①熊本市②佐藤光彦建築設計事務所③豊工務店④熊本市⑤11年2月⑥駅前広場バス停等上屋。


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