「現代の木造校舎を目指した」(隈研吾氏)という「帝京大学小学校」(東京都多摩市)が竣工、新校舎での授業が始まった。現代の木造校舎というのは、設計を担当した隈氏によると「大きな屋根と内外装における木のマテリアリティで構成される」建築物だ。構造そのものは校舎棟がRC・SRC・S造、体育館棟がS造となる。規模は3階建て延べ7,781㎡。帝京大学小学校は設計を日本設計・隈研吾建築都市設計事務所JV、施工を竹中工務店が担当した。
隈氏は「屋根はその長さや軒の高さを変えることで周辺環境や内部プログラムに柔軟に対応して多様性を生む」と述べる。同小学校では、軒が通った大きな屋根が多摩丘陵の緑が連なる南側に大らかな表情を見せ、団地の建ち並ぶ北側には小さな表情を持つように設計し、周辺環境に配慮している。加えて、特別教室ごとに必要なボリュームに応じて屋根形状を変え、12種類の異なる断面を持つ長屋が連なるような建物構成にしている。
空間構成では屋根の持つ平面性を建物のどこにいても感じられるようにした。吹き抜けと3層スキップフロアのメディアセンターなどを配置し、階による分断をなくした。
外壁にはスギ材を使っている。羽目板張りだけでなく、ルーバーと大和張りを使い分けて表情に多様性を持たせた。内装は、単に素材としての木ではなく木の可塑性に着目したという。わら、イグサ、ポプラの端材を固めた再生建材を多用し、そのまま掲示板としても使える大壁面も設置した。大屋根には集熱装置を組み込み、床下吹き出しの暖房用ソーラーシステムを採用した。屋根で雨水を集めてビオトープに使う縦樋も設けている。
『自然な建築 (岩波新書)』 隈研吾 著 AmazonLink
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