日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部中央地域会は、地域で活動する建築家の作品集の出版を記念して20日、東京都中央区内で吉田不曇副区長らを招き座談会を開いた。「備えは始まっている!-中央区の事前復興」をテーマに、東日本大震災から見えてきた都心部の課題を話し合った。 東日本大震災時、中央区では地下鉄の乗客らが小学校などの避難所に集まったため、区民のための防災拠点が機能しなくなるなど課題が浮き彫りとなった。 また、今後災害が発生した際の、ライフラインの回復までの期間が問題視されている。吉田副区長は「特に怖いのが上下水道。水の備蓄は飲料用であり、生活用水は十分ではない。下水道が使えなくなった際、ごみとして処理することをルール化し、周知しておく必要がある」と訴えた。その上で「建築家は建物を設計することと同じ感覚で、創造力を発揮して必要なものを突き詰めてほしい」とエールを送った。 地域の防災には住民同士のコミュニケーションがポイントになる。二瓶文隆元中央区議会議員は、かつての長屋を例に挙げ「本当はプライバシーが欲しかったが、薄い壁1枚を隔てて住むためには、近隣とコミュニケーションを深めることが必要だったのではないか」と述べ、日常生活にコミュニケーションが不可欠だったことを説明した。 ◆建築家の活動、地域にアピール 同地域会の会員作品集『建築家とまちづくりのなかまたち』は、地域の建築家の活動を広く社会に知ってもらうことを目的に製作した。 会員の作品を掲載しているほか、中央区のまちづくりの歴史なども紹介している。編集長の藤沼傑山下設計建築設計部門副部門長は「この本をきっかけに、多くの人たちと知り合いたい」と、さらに地域と深くかかわる意気込みをみせている。 建築ジャーナル。1000円(税別)。
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