東日本旅客鉄道(JR東日本)が進める東北縦貫線事業のうち、線路を新設する工事を東鉄工業が進めている。同社が施工しているのは、秋葉原駅から上野駅までの線路改良部。延長は約1・6㌔だが、合成マクラギ直結、フローティングラダー、鋼桁の3種類の軌道があり、分岐器も設ける「線路構造の展示会のような工事」(佐伯治東京線路支店東京軌道工事所長)。高架の下には飲食店などの店舗も入っており、慎重な作業を進めている=写真。
東北縦貫線事業は、東京駅から上野駅まで新しく線路を設け、上野駅止まりとなっている東北・高崎線と常磐線を東京駅まで乗り入れさせる。あわせて東海道線との直通運転を実施、混雑の緩和や所要時間を短縮する。また、東北・高崎・常磐線方面と東海道方面の相互の交流を促し、地域の活性化にもつなげる。
工事は東京駅から神田駅の約900mの区間と、秋葉原駅から上野駅間(約1・6㌔)の2つの線路改良部のほか、その中間の高架橋新設部(約1・3㌔)の3工区に分かれる。各工区とも土木工事が先行し、その後に線路工事が入る。東鉄工業が線路を新設する区間は、元は留置線があった場所で、留置線を一部撤去した所に上り線、下り線、通路線の3線を新設する。
工事に着手したのは2008年5月で、現在は約600mを12年11月末までの工期で進めている。軌道は3種類の構造を使うが、高架橋の負担を抑えるために軽い構造メンテナンスフリーで、かつ軌道下に防音壁を支持する梁を通すことが可能な構造を選んでいる点に特徴がある。1本25mの長さのレールは、田端の基地からモーターカーで現場まで運搬して敷設する。
同工区では現状、3線のうち通路線の一部が完成した状況。着工から4年近く経つが、線路を振り替えながらの作業になるため、時間がかかる。「自分が敷いた線路の上を電車で走るのが、この仕事の醍醐味」と話す佐伯所長。開業までの息の長い取り組みが続く。
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