東京を代表する観光地、浅草に切妻屋根の平屋の建物を積層した、和のエッセンス漂う建築がお目見えした。台東区が増大する観光需要に対応する、国際観光都市にふさわしいインフォメーション施設として整備した「浅草文化観光センター」だ=写真。20日にオープンする。下町の界隈(かいわい)性を立体化させたようなインパクトある設計はコンペで選ばれた隈研吾建築都市設計事務所が担当。建築工事はフジタ・大雄JVが施工した。
国内外の観光客でにぎわう浅草寺・雷門の面前に完成した同施設は、S一部SRC造地下1階地上8階建て延べ2160㎡の規模。天井には鉄骨の構造材にスギの集成材を組み込むことで、木造的な構造を表現。外壁のルーバーにもピッチを変えてスギの集成材を使っている。
8階の展望テラスや外付けの階段からは浅草寺の表参道である仲見世通りや5月にオープンする新名所・東京スカイツリーも眺めることができる。
13日には内覧会が開かれ、設計者の隈氏は「敷地が広くないので、ペンシルビルにならないよう、また浅草の風景に合うように屋根のある平屋を重ねるデザインを考えた」と設計意図を説明。さらに「天井の斜めのラインは、階と階とをスムーズにつなぐ役割を担っている。平屋を積層させる格好にしたことで、各スペースのキャラクターも明確になる」などと述べた。
同センターは、築後50年以上を経過し老朽化した旧センターを台東区雷門2-18-9の現地で建て替えた。1階に案内ロビーや外貨両替所、2階に観光情報コーナー、3階に旅行団体支援スペースや事務室、4、5階に会議室、研修室、6階に多目的スペース、7階に展示スペース、8階に展望テラス、喫茶室などを設けている。
『負ける建築』隈研吾 著 AmazonLink
0 コメント :
コメントを投稿