2016/09/28

【熊本地震】無人化施工で14台のマシンが活躍! 阿蘇大橋地区の復旧工事進む


 九州地方整備局が進める阿蘇大橋地区土砂災害緊急対策工事の現場が26日、報道陣に公開された。工事は2次災害を防止するため、土留を設置した上で、頭頂部の不安定土砂を取り除く。施工は熊谷組が担当している。

 土留は地上から約50mの高さに設置し上下段の二段構えとなる。ともに直線距離で長さ200m、天端幅は5mとなる。上段は頭頂部側の深さ3m、現在施工中の下段は3-5mで計画し、これがポケットとなり土砂を受け止める。無人化施工で、カメラ車3台、キャリーダンプ4台、ブルドーザー1台、バックホウ6台の計14台が稼働している。
 頭頂部の不安定土砂の除去作業は上段土留の完成を受けて8月31日に着手した。斜面に沿ってV字形に張設したワイヤに斜面上でも稼働できるよう改良したバックホウをつり下げ、ウインチによって上下に移動させて掘削する。ワイヤを張るアンカーは、周辺に立木がないため、地盤改良した上でワイヤをくくりつけた丸太を埋め込み対応した。重機進入路沿いに27カ所設置し、横移動を可能にする。



 バックホウ3台で作業し、オペレーターが目視や重機に取り付けたカメラを見ながら遠隔操作する。1台につきオペレーターとウインチの操作で各1人、全体の監視者を加え約10人体制。午前8時から午後7時までの日中に作業し、作業量は1日30-45m3、計約6900m3の除去を目指す。進捗状況は月1回3D写真を撮影し確認する。


 想定より斜面表層が柔らかく、頭頂部から土砂を落としても土留まで転がらず、勾配が緩やかになる中腹で堆積している。こうした転石除去が今後の検討課題となるが、頭頂部へとつながる工事用道路の完成などで作業環境が改善されるため、予定どおり除去作業は2016年内を見込んでいる。
 九州整備局熊本地震災害対策推進室熊本分室の野村真一総括(河川・砂防)は、「急な斜面での作業となる。支えるアンカーなどは常に注視する。強度などは試験済みだが、定期的に点検しながら作業を進める」と安全対策に万全を期している。
 不安定土砂の除去が終われば、有人施工が可能となり、作業効率が良くなる。17年には法面対策に着手し、仮設道路・鉄道の復旧に向けた測量などに進む。
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