2014/04/19

【復興版】「広域処理は、平時から協定を」がれき処理ブロックの現場代表が座談会

日本建設業連合会の復旧・復興対策特別委員会災害廃棄物部会(部会長・井手和雄清水建設土木事業本部専務執行役員営業統括)は、震災の災害廃棄物処理業務を受注した会員企業の代表者による座談会を開いた=写真。業務の苦労や地元貢献、将来予測される災害への教訓などを話し合い、出席者からは、日建連による外部への発信・PRなどを期待する声が上がった。

 座談会は、同部会の報告書作成に当たって開いたもので、井手部会長は「南海トラフ巨大地震は東日本大震災の約11倍、首都直下地震は約5倍という膨大な量の災害廃棄物の発生が予測されている」とし、「目標期間内に災害廃棄物の処理が完了した今回の経験を風化させず、今後の教訓とするため、関係機関と対応を協議していくのも日建連の活動の1つ」と趣旨を説明した。
 同部会幹事長の児島彰清水建設第二土木営業本部副本部長が司会進行を務めた座談会には、日建連会員企業が受注した災害廃棄物処理業務エリアのうち、岩手県の久慈、山田地区、宮城県の南三陸処理区、石巻ブロック、名取処理区、岩沼処理区、亘理処理区、山元処理区の各JV代表者7人が出席した。
 苦労したことでは、「実際の処理量が当初の想定を大幅に上回り、さらに広域処理の受入先もなかなか決まらなかったため、2次仮置き場がみるみる一杯になった」といった声が各地区から口々に上がった。
 「2次仮置き場で中間処理したものを置く場所もないため、やむを得ず処理速度を低減させることもあった」と振り返る地区もあり、「運び込まれる廃棄物を高く積み上げ、立体的に活用する」など各地区とも工夫を重ねて対応したことが紹介された。また、復興資材として再生利用できるものは「積極的に国や県、市町村などが受け入れてくれた」という。
 地元貢献では、いずれの地区も雇用に取り組んだ。ある地区では、業務終了後の再就職を支援するため、現場で就職面接会を開いたほか、JVの業務終了後も継続して働けるよう下請けの地元建設会社や造園会社に新規に雇ってもらった地区もあった。
 今回の教訓を生かすため、「広域処理は平時から地方自治体間で協定を結び、処理先だけでなく、運搬方法も決めておくべき」「広い用地を手当てできるのであれば、平時から災害廃棄物の仮置き場や処理する場所を指定し、確保すべき」など災害廃棄物の出口戦略を平時から練るよう指摘する声が相次いだ。
 また、「南海トラフ巨大地震や首都直下地震は、発生地域の地形や人口分布、産業構造などが東日本大震災とは違うため、発生する災害廃棄物も異なる恐れがある。その相違点とともに、われわれが得た知見や反省すべき課題などをまとめ、日建連として外部に発信してほしい」との意見も出た。

 座談会の参加メンバーは次のとおり。
 ▽奥村組の大塚義一東日本支社復興プロジェクト室技術営業グループ長(久慈、山田地区)▽清水建設・フジタ・鴻池組・東亜建設工業・青木あすなろ建設・錢高組・浅野工務店JVの太田美喜夫所長(南三陸処理区)▽鹿島・清水建設・西松建設・佐藤工業・飛島建設・竹中土木・若築建設・橋本店・遠藤興業JVの青山和史次長(石巻ブロック)▽西松建設・佐藤工業・奥田建設・グリーン企画建設・上の組JVの永野心治副所長(名取処理区)▽安藤ハザマ・奥田建設・上の組・春山建設・佐藤建設JVの砂山浩紀副所長(岩沼処理区)▽大林組・戸田建設・鴻池組・東洋建設・橋本店・深松組・春山建設JVの新開千弘副所長(亘理処理区)▽フジタ・東亜建設工業・青木あすなろ建設・大豊建設・本間組・河北建設・佐藤建設JVの前田茂樹所長(山元処理区)。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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