下地検査にLEDライトを使う徹底ぶり |
同社にとって23年ぶりの国内新工場である西棟が稼働したのは2012年2月。製造ラインをできる限り直線で効率よく配置するため、建物長さは長辺方向で224mにも達した。設計と建築工事を担当した竹中工務店に、200mを超える直進通路をもつ工場は初めて、と言わしめるほどだ。
1階から4階までに配置された製造ラインは、原料調整、成形、乾燥、検査、施釉、焼成、組立の7工程に区分けされる。衛陶生産本部の田原裕之衛陶設備技術グループリーダーは「軟らかい状態の成形品には、既に475項目にも及ぶ製品履歴がインプットされている」と、成形時に付けられる小さなバーコードを指さす。厳密な生産管理が実現し、注文後すぐに製品を手配できる在庫レスが可能になった。
成形の時間も、従来の6分の1に短縮された。泥しょうを流し込む型を石膏から樹脂に変更し、加圧による自動成形と取り外しが実現。これまでは手作業で抜き差ししていたため、トータルで120分ほどの時間を費やしていたが、現在はわずか20分で作業を完了できるようになった。
製造ロボットは9種類32台 |
場内の空調設備も従来と大きく変わった。田原グループリーダーは「工場でありながらも、オフィスビルに使われるマルチエアコンを導入している」と明かす。旧西棟では1つの空調設備で対応してきた。ここでは空調エリアを11分割し、中央制御によって最適な運用を進め、年間72万kW時もの節電に成功した。空調エリアを建物内部に限定するレイアウト設計の効果に加え、下地検査にもLEDライトを使う徹底した省エネ活動も下支えしている。
釉薬の塗られた便器が時速7.5㎞でゆっくりと窯の中を進む焼成工程。長さ111mの窯の中を15時間かけて通過する。窯の構造は従来の煉瓦ではなく、厚さ約30cmのセラミックファイバー層とし、熱効率を格段に高めた。窯内は焼き加減を最適化するため温度差が異なる。風で温度調整を行うが、その際に発生する廃熱を別のエリアに使うことで、都市ガス消費量を従来より71%も削減することに成功した。
旧棟と比較した場合の電力量は18%の削減、都市ガスは49%の削減となり、トータルでは43%もの削減効果につながった。衛陶生産本部衛陶技術部の鈴木裕之部長は「当初目標は30%だった。空調と窯の省エネ効果が予想以上に大きかったが、工場内で当たり前のように取り組んできた環境活動がさらに数字を押し上げた」と強調する。
7月末を目指し第3の窯を建設中 |
同社最大の生産拠点である小倉工場は、既に窯設置後40年以上が経過している。「維持更新の際には、滋賀工場西棟の導入技術を水平展開する」(鈴木部長)。今後3種類を追加予定の新商品では、滋賀工場をベースに生産検証を進める方針。新たに滋賀ブランドの腰掛け便器が登場する日も近い。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
0 コメント :
コメントを投稿