
内覧会での千住氏 撮影:田中和人
目の前に広がったのは、いままでに見たことがない自然の光に包まれた展示空間だった。長野県軽井沢町に昨秋オープンした「軽井沢千住博美術館」は、入り口に立った時、そんな心地良い光が木洩れ日のように差し込み、森の陽だまりに入って行くような幸せな気持ちにさせられる。日本画家・千住博さんの作品展を中心とするまったく新しいタイプの美術館だ。
作品は、空間に置かれた壁に展示している。延べ約1500㎡の平屋で外壁はすべてガラス。円柱形をした4つの中庭もガラスでできていて、内外の境界を緩くしている。葉色を楽しむカラーリーフが植樹されている。床は地形に合わせて自然な斜面とした。千住さんは「野の中を歩いていたらたまたま千住の絵があった。そんな、自然と人間のアートが共存できる21世紀型の美術館を建築家の西沢立衛さんと考えました。中庭の木がどんどん育っていけば、建築の存在も『消える』でしょう。それが目指すところです」と語...