会議2日目には、リサイクルをテーマとしたセッションが開かれた。欧州ではCO2排出量削減やLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点から、アスファルト再生材の有効利用が注目を集めているが、行政側の技術進展に対する認識不足などが大きなネックとなり、再生材の活用は進んでいない状況にある。
一方、日本では、ほぼすべてのアスファルト舗装がリサイクルされ、欧州に大きく水をあけている。国土交通省の建設副産物実態調査結果によると、アスファルト・コンクリート塊の再資源化率は2005年度の調査時点で既に98.6%に達し、08年度には98.4%と微減したものの、12年度には99.5%を達成している。
損傷したり古くなったりしたアスファルト舗装は撤去後、アスファルトプラントに運ばれ、破砕機で大きさを整えてから再生骨材として再利用される。アスファルト混合物がグリーン調達品目になっていることから、地方自治体にもリサイクルの考えが浸透しており、再生アスファルト混合物は日本の道路舗装で広く採用されている。
セッションでは、欧州でアスファルト再生材の活用が進まない主な要因として、リサイクル材の技術進展に対する行政の認識不足と業界のPR不足などが挙げられた。世界トップレベルの再生材使用国として日本の取り組みが例示される一幕もあり、今後、欧州でのリサイクルの進展に、日本の技術が貢献できる場面が出てきそうだ。
日本調査団もブースをつぶさに回った |
3日間にわたる会議期間中は、各セッションのほか約60の企業・団体による製品や技術の展示も行われた。セッションのメーン会場となった大ホールの外側に設置された色とりどりのブースでは、約170人の展示関係者が自社製品や技術などをアピールし、日本調査団も熱心にヒアリングしていた。展示ブースの中で、ある団員が注目していたのはデンマークの企業が出展していた、改質アスファルトの移動式プラントだ。日本ではアスファルト合材プラントが全国をほぼ網羅しているため、改質アスファルト合材はどこの現場でも一定の時間内にプラントから運ぶことができる。
一方、合材プラントの整備が進んでいない新興国などでは、日本と同じように容易に改質アスファルト合材を入手することが難しいため、「海外の大規模現場などで威力を発揮する」と関心を寄せていた。改質アスファルトのプラントと合材プラントを現場に併設すれば、大型ローリーで改質アスファルトだけを運んでくる必要もなくなり、材料ロスが少なくて済むなどのメリットが見込まれる。
会議会場のプラハ会議センターは、調査団が宿泊する旧市街地近くのホテルから地下鉄で2つ目の駅のそばにある。プラハ市内には地下鉄がA線、B線、C線と3本走っている。ホテルから最寄りの駅を利用した場合、1回乗り換える必要があるため、団員の多くは乗り換えなしで会場に行けるC線の駅まで5分ほど歩いて乗車するコースを選んだ。
地下鉄には自動改札機のような設備はなく、駅員に提示を求められた場合にだけ乗車券を提示する。無銭乗車が発覚した場合に罰金が科されるという仕組みだ。団員は複数日有効な乗車券を携帯していたが、提示を求められた者はいなかったようだ。
会場まではホテルからドア・ツー・ドアで20分程度。1日目は団体行動で会場に向かったが、2日目、3日目は担当セッションの開始、終了時刻に合わせて、各自がそれぞれホテルと会場を往復した。最も早いセッションは午前9時開始のため、担当者は時差ボケにもめげずに早い朝食をとり、石畳を踏みしめながら駅に向かう。会議も2日目を迎え、調査団員も幾分か環境に慣れ始めてきた。
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