2013/10/19

【ダクト職人】全ダ連が歴史資料館をオープン 目玉は高難度施工オブジェ

全国ダクト工業連合会(田村行雄会長)は10日、「ダクト歴史資料館」を開設する。川崎市のJFEスチール東日本製鉄所内に開設するもので、全ダ連の全国会員・組織、日本のダクト工事の変遷、全ダ連の歴史などを年表や写真とともに紹介する。「資料や歴史の価値を知って、若者が将来の方向性を決める糧にしてもらうなど、人材の確保、育成に役立てたい」(田村会長)という。全ダ連によると、専門工事業団体が資料館、歴史館を開設するのは初めて。田村会長は、「歴史を残す重要性を感じ取ってもらえれば」と話している。


 
ダクト技術の難しい部分を結集したオブジェ
◇「THiNK SMART」内に開設

 歴史資料館は、川崎市川崎区にあるJFEグループ鋼構造材料ソリューションセンター「THiNK SMART」に開設する。
 開館時はアナログだが、展示とともにコンテンツを作り込んで、落とし込み、歴史を始めパソコン検索を検討するなど、「将来にわたってメンテナンスし、時節に合った内容にしていく」(田村会長)という。
 公開は1週間に1回程度で、全ダ連(電話03-5567-0071)が申し込みを受け付ける。入場無料。
 八角形、85.3㎡のスペースの中央に展示するオブジェは高難易度の曲(まげ)物(もの)ダクトで、「今の時代でこそ必要とせず、造らないが、かつてはこれを造ることができるようになると一人前と言われた難しいダクトで、すべて手作業で造り、職人の一つの目標だった。本物の技能の伝承を叶えたいとの先人たちの思いでもある」(田村会長)という。
 田村会長は、「かねてから先人たちの思いを何とか残したいという気持ちがあったほか、昔の資料の収集も、記憶をたどるのも今が限界にある」と話している。

◇ダクト業界に入職を

 建設実行委員会の委員長を務める全ダ連の田村会長は開館に当たって、「今日に至ることができたのも先人、先輩たちが伝承してきた高度な技術と技能が存在したからと自覚している。明治末期に日本国内で最初のダクト工事が施されてから百有余年を経て、生産システム、加工方法、施工技術などは近代化が進む中、大きく様子を変えてきた。しかしながら、この変化が生じた時に、高度な技術や技能は低下したのではと思えてならない」と話す。
 そして「現在希薄になりつつある師弟の絆の復活や就労人口減少化への改善は難題に相違ないが、ダクト歴史資料館に来ていただき、見ていただき、触れていただくことで、多くを知っていただき、若年者のダクト業界入職希望者が増すことを強く願っている」と資料館に期待を寄せている。
 全ダ連によると、今回の資料館の開設に当たって、会員、特別会員、賛助会員、関係者から総額約2500万円の協賛金が集まったという。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

Related Posts:

  • 【労務単価】国交省が相談ダイヤル 末端賃金の実態把握へ 国土交通省は「新労務単価フォローアップ相談ダイヤル」を開設する。2013年度に公共工事設計労務単価を大幅アップさせて以降、現場の最前線で働く技能労働者まで適切な賃金が行きわたっているかなどの実態把握に生かす。電話相談は12日午前10時から受付開始する。技能労働者が安心して働き続けられる環境整備の一環として、社会保険未加入対策の動きが加速する中、相談窓口を設けて元請けや下請け、労働者などさまざまな立場の人から生の声を集める。 電話はナビダイヤル… Read More
  • 【職人】太田国交大臣が富士訓練センターを視察 センター機能拡充へ 太田昭宏国土交通相は7月31日、建設技術者や技能者を育成する「富士教育訓練センター」(静岡県富士宮市)を視察した=写真。現在実習・講習を受けている高校生のクレーン技能実習と足場組み立て実習の様子を見学。視察後、太田国交相は「公共事業は長年悪だ、無駄だと言われてきたが、それは間違い。命を守るために一番大事なものである。その意味でも一番誇りを持てるのが土木、建築の世界だ。皆さんの前にはすばらしい仕事が待っている」と生徒たちを激励した。同センターを… Read More
  • 【職人】1人ATKY(アタックケイワイ)活動へDVD制作 大林組災防協 大林組協力会社災害防止協会東京支部(石沢正弘支部会長)は、大林組の監修、建設安全研究会の制作協力を得て、DVD「やるぞ!1人ATKY-指差呼称でヒューマンエラーを防止-」を制作した。ATKYとは、安全・点検確認活動(ATK、アタック)と危険予知活動(KY)を統合した現場での安全活動のこと。これまでは別々に実施されることが多かったが、統合で実施率の向上を目指している。 1人ATKYを実行することで、やらないよりもやることによって労働災害が6分の… Read More
  • 【職人】鋼管パイプで小屋を組立 近畿躯体工業協組が、とび技能検定実技 近畿建設躯体工業協同組合(山本正憲理事長)は7月31日と1日、兵庫県三田市の三田建設技能研修センター実習場で、2013年度とび技能検定実技試験を行った。今回の受検者数は1級99人、2級2人の計101人。参加者は合格を目指して課題に挑戦し=写真、1日には山本理事長が激励に駆け付けた。 この試験は、大阪府職業能力開発協会からの委嘱により同組合が実施している。試験内容は、制限時間内(標準時間90分)に鋼管パイプで小屋を組み立てるもので、作業時間のほ… Read More
  • 【鉄筋界】棒鋼の生産現場を見学 鉄工協がメーカーと意見交換 東京鉄筋工業協会(知念辰昇会長)は、 電炉メーカーの城南製鋼所 (埼玉県川口市、岸田成器社長)で棒鋼の生産現場を見学するとともに=写真、メーカーとの意見交換を行った。知念会長は 「鉄筋の加工・取り付けを行う鉄筋工事企業として、その材料の生産工程を知っておくことは大事なことであり、メーカーと情報交換することは、 お互いにプラスになる」と話す。 見学会を土曜日に行ったのは、電炉メーカーの生産が平日は夜間、土日は昼夜3交替で行っているため。参加者は… Read More

0 コメント :

コメントを投稿