見直されるか、コンクリート舗装 |
国土交通省では、道路構造物の長寿命化対策として、LCC(ライフサイクルコスト)縮減の観点からコンクリート舗装の優位性を認識し、維持管理マニュアルの整備によって適材適所の活用に舵を切ろうとしている。ことし6月には社会資本審議会道路分科会の中間報告でもヒートアイランドへの対応やLCCの最小化などから活用が促された。
協会が全国生コンクリート工業組合連合会、同協同組合連合会と共同でパンフレット『環境にやさしいエコ舗装』を作成したのは2年前。技術資料と合わせ、5000部を国や地方自治体、高速道路会社に配布し、コンクリート舗装の優位性をPRしてきた。
国交省直轄の発注工事に変化が見え始めたのは、12年度に入ってからだ。トンネル部への採用が中心であったコンクリート舗装だが、明かり(土工)部の工事にも採用され始めている。耐久性に加え、路面温度を5-10度低減するヒートアイランド現象の緩和を実現できる利点にも深く関係している。
課題とされてきた維持管理段階での技術導入では、協会が中心となり、通常2週間程度かかっていた養生期間を24時間以内に短縮できる早強ポルトランドセメントによる「1DAY PAVE」(早期交通開放)を開発した。東京都内の区道などで既に試験施工も行っており、NETISにも申請中だ。
ダイヤモンドグラインディング工法の刃 |
コンクリート舗装路面を2mm程度削り、路面性能を回復する米国技術の「ダイヤモンドグラインディング工法」も試験施工し、施工後の乗り心地や低騒音化の効果も確認済み。アスファルト舗装のわだち掘れをコンクリートで補修する「ホワイトトッピング工法」は供用10年を経過しても導入した千葉県道の耐久性は問題なく、コンクリートの耐久性を立証した格好だ。
セメント内需は年間4400万t。協会副会長の竹下道夫宇部興産社長は「コンクリート舗装が現在の倍に増えたとしても、5000万tになるような大きなインパクトはない。ただ、国民目線に立ち、最良の材料を提案することがセメント業界としての社会的使命である」と強調する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月21日 10面
0 コメント :
コメントを投稿