2012/11/07

【土木】北海道新幹線・津軽蓬田トンネル貫通!! シールドが地上発進・到達に成功

地上に面盤を現したシールド
鹿島は、現在施工中の北海道新幹線津軽蓬田トンネル工事で、SENS工法では国内初となる地上発進・地上到達に成功した。全長6190m、シールド外径11・3mの大断面長距離トンネルを約35カ月というスピードで掘り終えた。到達地点は5mの土被りしかない難所だったが、高精度の施工管理技術を駆使し、10月に無事貫通を迎えた。同社は今回得られた知見をもとにして、都市部の大規模トンネルや地盤の悪い山岳トンネル工事などに、地上発進・地上到達工法を適用できるよう、さらなる技術開発に取り組む方針だ。
 SENS工法は、シールド工法の安定性・施工性とNATMの経済性を併せ持った技術。密閉型のシールド機により切羽の安定を図りながら掘進すると同時に、シールド機のテール部で一次覆工となる場所打ちコンクリートを打設し、一次支保材として地山を保持しながらトンネルを構築していく。一次覆工の安定を確認後、NATMと同様に、漏水処理工と二次覆工を施しトンネルを完成させる。
 セグメントが不要になることなどでコスト低減が図れるほか、工期的にもNATMの倍以上のスピードで施工できる。同工事では推進機構や内型枠の改善により、最高月進367・5mを記録した。
 一方でSENS工法は、通常のシールド工法の掘進推力に、コンクリート打設圧力が加わるため、掘進時のバランス管理や地山への影響低減の難しさが増す。同工事は90mの大深度や小土被りでの河川横断など、常に土被りと地下水位が変化する施工環境にありながら、高い精度の管理・制御技術を生かし難工事を乗り切った。
 具体的には、シールド機の安定性は、コンクリート盛土と仮設の抑え盛土、背面地山に対するロックボルトの引き抜き抵抗力で確保。小土被りとなる地上到達の際には、地表面を20カ所以上にわたって常時計測しつつ、隆起や沈下などの変位を高精度に制御した。
 工事は鉄道建設・運輸施設整備支援機構が発注。2014年9月までを工期に、鹿島・鉄建・梅林建設・田中組JVが施工している。工事場所は青森県蓬田村~外ヶ浜町。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月7日3面

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