2012/11/19

【新国立競技場】実施設計でデザインビルド採用も 工期、コスト縮減へ

選考結果後の会見
日本建設業連合会が新国立競技場の整備に当たって要望した「デザインビルド(DB)」方式の採用を発注主体の日本スポーツ振興センターが選択肢の一つに入れていることが分かった。文部科学省が2013年度予算に基本設計費のみを概算要求しているため、日建連が求めた基本設計からの設計・施工一括は予算的な制約から困難だが、実施設計以降の発注については、完成までのスケジュールがタイトなことや、コストの縮減などが求められていることもあり、今後メニューの一つとして検討を進める考えだ。
 同センターの河野一郎理事長は、15日に開いた基本構想国際デザインコンペの選考結果の会見後、今後の基本設計について、予算成立からタイムラグを置かずに開始できるようにするため、12年度内にプロポーザルの公募手続きに入りたいとの考えを示した。募集要項などの作成に取りかかり、予算の裏付けが取れた段階で、公募を始める予定だ。
 実施設計以降の発注方式は現時点では未定だが、同センターはDB方式の採用について、「選択肢から排除する考えはない。予定工期に間に合わせる必要があり、スピード感が求められている。今後、建設業界の意見などを聞きながら、工期やコストなどの兼ね合いを考慮した上で発注方式を具体化していきたい」としている。衆院解散の影響により、予算の成立がずれ込むと基本設計の着手が遅れるため、その分、工期短縮に有利と言われるDB方式を採用する可能性も高まりそうだ。
 日建連は、複雑な形態の開閉式屋根などの技術的検証の観点からDB方式の採用を2度にわたり要望していた。
 新競技場は19年開催のラグビーワールドカップのほか、東京都が招致を目指す20年夏季五輪のメーン会場での使用を想定。同センターは、これらの大会に間に合わせるため、基本設計期間を13年4月-14年3月、実施設計期間を同年4月-15年3月に設定。同年7月から解体に入り、15年10月の着工、19年3月末の完成を予定している。
 新競技場は全天候型の可動式屋根を設けた収容8万人規模の施設で、総工費に約1300億円を見込む。コンペでは、イラク出身で英国在住の女性建築家、ザハ・ハディド氏の作品を最優秀案に選んだ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月19日1面


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