2012/11/14

【放射線】車載型シートで重機操縦者の被ばく量を半減 三菱重工、大林組

三菱重工業と大林組は、放射線環境下で産業用車両操縦者の被ばく量を抑制する「放射線シールドシート」を共同開発した。三菱重工が特殊車両の開発・製造で培った放射線遮蔽(しゃへい)技術と大林組の除染作業ノウハウを生かした車載型遮蔽シート(座席)で、車両に組み付けて、よろいのようにまとうことで放射線を遮蔽する。遮蔽率は50%を目標に開発し、油圧ショベルなど重機を使った除染作業やがれき撤去、廃棄物運搬作業などの簡便な安全確保ツールとして、12月中旬に
三菱重工から発売する。
 同シートは、東京電力福島第一原子力発電所の構内作業や周辺高線量地域での除染作業、環境省が検討している中間貯蔵施設や減容化施設での放射性廃棄物の運搬作業のほか、原子力施設での過酷事故対策などを念頭に開発。同シートの導入で、放射線遮蔽機能を備えた産業用車両の新規調達や車両改造に必要なコストや手間が省ける。
 シートには遮蔽効果の高いタングステンを主に使い、肩・腕部、腹・足部、首部に分解できる構造となっている。油圧ショベルやクローラーキャリア、クレーン車などさまざまな車両の既存の座席シートを取り外して組み付けられる。総重量は約130㌔だが、各パーツが20㌔以下で、それらをシートと一体構造とすることにより操縦者の重量負担を最小限に抑える。
 操縦者は、遮蔽シート前面を左右に開閉することで、簡単に乗り降りが可能で、各パーツは操縦者の体形に沿うように前後・上下の調整機能を備えている。これら工夫により、高い遮蔽率を確保しながら、連続作業でも疲れを感じさせず、操作にも支障が出ないように配慮した。
 両社は今後、同シート発売に向け、放射線環境下での実地の遮蔽効果実証試験も検討し、さらなる使い勝手の改善や、遮蔽率の向上などに取り組む。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月14日3面

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