ステーションを説明する坂村教授 |
◇災害時の避難誘導に有用性
街角情報ステーションは、災害発生時に地上の通信インフラが寸断した状況でも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が保有する衛生通信(きく8号)を利用してインターネット接続を維持できる独立式の情報端末。太陽光パネルや蓄電池などの自立電源を備えているため、電力供給が遮断された場合でも機器の稼働に必要な電力を維持できる。
災害時には被災者が持つスマートフォンを接続して、周辺の災害状況、避難場所への誘導といった情報提供を行う一方、スマートフォンを持っていない場合でも備え付けのディスプレイで同様の情報を閲覧できるなど、交通機関の麻痺(まひ)による帰宅困難者への対応や非常時の情報通信に高い効果を発揮するシステムだ。
また、運転免許証やSUICA、PASMOといったICカードを事前にユーザー登録することで、災害時の安否確認システムとなるほか、平常時には周辺施設や店舗など、地域の来訪者に対する観光情報の提供やスマートフォンの充電といったサービス機能も備える。
駅前や公園など、災害時に多くの人が集まる場所にネットワーク化して設置することができれば、一層、有用性が高まるとみられている。現段階ではスマートフォンやICカードを介して接続する被災者の個人情報の問題や設置費用、設置主体といった課題も多いが、首都直下地震などの大規模地震への切迫性を抱える中で実用化への期待も大きい。
街角情報ステーションの実証実験には、開発者である横須賀テレコムリサーチパークYRPユビキタス・ネットワーキング研究所とユーシーテクノロジのほか、東大大学院情報学環ユビキタス情報社会基盤研究センター、JAXAが参画している。東京都建設局も道路用地の提供という形で支援している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月27日版 4面
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