2012/11/08

【現場最前線】夜空に62トンの巨大鋼桁が浮遊 阪神高速海老江JCT

空中に浮かぶ62トンの桁
阪神高速道路会社が建設する淀川左岸線(1期)の海老江ジャンクション(仮称)で、3号神戸線の上空に重量62tの鋼桁をクレーンで落とし込み架設する工事が6日深夜に行われた。これによって神戸から湾岸に向かうDランプがつながったことになる。施工は三菱重工鉄構エンジニアリング・駒井ハルテック・日本橋梁JVが担当。「8月に本線のトンネルがつながり、残るAランプも11月中に連結する予定。来春の完成に向けてラストスパートの段階に入った」(毛利哲也阪神高速道路会社建設事業本部大阪建設部長)。

ゆっくりと3号神戸線の上空を旋回
海老江JCT(仮称)のDランプ(大阪市福島区)は、淀川を渡りながら枝分かれし、3号神戸線と阪神電鉄本線の間を並行した後、急カーブしつつ3号神戸線をまたぎ、海老江下水処理場の南側を西に進み、トンネル部につながるまでの区間。1期では湾岸から神戸に向かうAランプと合わせて整備する。
 6日に架設したのは、橋長331mの鋼5径間連続鋼床版箱桁の一部。3号神戸線の直上に位置する橋桁(全5ブロック、長さ44・1m)を両方向から順に張り出し、最終ブロックを落とし込み架設し、閉合した。
 5ブロックのうち4ブロックは10月27日までに架設を終えており、ブロックの中で最大となる最終ブロック(長さ13・7m、橋桁幅2・55m、床版幅8・29m)を、550t吊りオールテレーンクレーンで落とし込んだ。
 工事の最大のポイントになったのが「用地的な制約」(下村幸徳阪神高速道路会社建設事業本部大阪建設部淀川左岸線建設事務所長)。現場のすぐ近くを阪神電鉄が通るなど「近接物件が多く、条件の厳しい工事となった」(同)。
 6日は午後10時から3号神戸線の大和田~阿波座間を通行止めし、10時30分過ぎに架設作業に入った。11時ごろから工事ヤードに置いた鋼桁をクレーンで吊り上げ始めた。数分後には夜空に巨大な鋼桁が浮かび上がり、ゆっくりと3号神戸線の上空を旋回、微調整を繰り返しながら30分ほどかけて10-25mmしか隙間のない所定位置に落とし込んだ。
 この日は仮止めしたほか、正規のボルトを数本仮締めした。今後1週間程度で本締めを行い、落下防止や高さ調整用のセッティングビームを取り外す予定だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月8日11面

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