ザハ案 |
◇世界に建築・環境技術アピール
審査講評では、「可動屋根も実現可能で、文化利用時には『祝祭性』に富んだ空間演出が可能。とりわけ、大胆な建築構造がそのまま表れたダイナミックなアリーナ空間の高揚感、臨場感、一体感は際立っており、この強靱な論理に裏付けされた圧倒的な造形性が最大のアピールポイントだった」とした。
また、「橋梁ともいうべき象徴的なアーチ状主架構の実現には、現代日本の建設技術の粋を尽くさなければならない挑戦になる」とし、自然採光・自然換気・太陽光発電・地中熱利用・中水利用・雨水利用のクーリングシステムなどの提案に対しても「日本の優れた環境技術が十分生かされるだろう」との見解を示した。
アプローチを含めた周辺環境との関係は現況に即して修正が必要と指摘しているが、強いインパクトをもって世界に日本の先進性を発信し、優れた建築・環境技術をアピールできるデザインである点を高く評価した。
安藤氏は15日の選考結果の会見で、新競技場には単純な施設拡充以上の社会に対するメッセージや新しい時代のシンボルとなるべき想像力が求められているとの考えを示し、低滞する社会状況を打破する意味でも、「この建築を国家プロジェクトとしてつくり上げることで、日本が技術力などを含めてすごい国だということを世界に発信したい」と強調した。
コックス案 |
SANAA案 |
今回のコンペには、国内外から46点(国内12、海外34)の応募があった。1次審査では作品の匿名性を確保した上で、日本人審査員8人から推薦があった作品について、デザイン性、機能性、実現性などの観点から検討を行い、国内の設計事務所からの応募4作品を含む11点を選定した。
2次審査では、グローバルな知見を求め、世界的建築家のノーマン・フォスターとリチャード・ロジャースの両氏を審査員に加え、計10人で投票を行い、その上位作品について、未来を示すデザイン性、技術的なチャレンジ、スポーツイベントの際の臨場感、施設建設の実現性などの視点から審査した。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月19日4面
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