東日本大震災で天井落下事故が多発、その対応が大きな課題になった。しかし、問題が顕在化したのが東日本大震災だったというだけで、大きな地震のたびに落下事故は発生していた。特に、発災後の避難所となる体育館などの被害が多く報告されている。ところが、天井は非構造部材であるため法規での明確な規定もなく、責任の所在もはっきりしない。このことが、対策を遅らせてきた一因になってきた。東日本大震災後、国レベルで、本腰を入れた対応の検討が進められている段階だ。
本書は、落下問題だけでなく、『日経アーキテクチュア』で取り上げた天井に関する話題・記事を▽大震災で露呈した天井構造の脆さ▽もっと軽く、柔らかく!天井設計の新発想▽天井は環境設計の要 温度ムラを賢く解消▽照明は天井の一部 機能と演出を両立▽一度見たら忘れない 個性的な天井デザイン▽技ありの施工&改修で天井のイメージ刷新--に整理、編集し直したもの。天井が抱える課題とともにその魅力も伝える内容になっている。
実際の建物を対象に、カラー写真をふんだんに使って記事化しており、読んで考えるだけでなく見ても楽しい一冊だ。 (日経BP社・3990円)
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月7日2面
『天井大全―これ1冊で天井のすべてがわかる!』 AmazonLink
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