2012/11/13

【建築!】隈研吾の反復継手構造建築 国連大学にやぐらと茶室

国連大学に設置されたやぐら
国連大学文化協会は、東京都渋谷区の同大学前で世界のお茶をテーマにしたイベント「WISDOM TEA HOUSE」を開いた。建築家・隈研吾氏の設計による伝統技術を使った木のやぐらや茶室が設置され、お茶の文化と建築技術の融合による「英知の空間」が生まれた。やぐらは汎用性の木材を使いながら、コンピューターによる加工技術を活用し、複雑に見える構造体を短期間で実現した。
 同イベントは、世界中のお茶の文化に触れながら、日本の伝統的木造建築を体感することで、未来に役立つ知恵を育むもの。
 やぐらは、相欠組太柄栓入、腰かけあり継ぎ、ほぞ差し太柄栓入の3種類の伝統的継ぎ手を反復させ、複雑な架構とした。11日の式典で隈氏は「この構造は、どんどん継ぎ足し、削ることができる。生物のように増殖し、時間の経過に耐え得るサステナブルなシステムといえる」と、21世紀型の建築となる可能性を示唆した。

やぐらを説明する隈氏
90cm間隔で立つ垂直の柱材と、60cm間隔で柱材をスパイラル状につなぐ斜材の組み合わせは「現代のマシン技術と人の手によって、短時間で実現できた」(隈氏)という。
 一方、茶室には石川県小松市の日用杉が使われている。和田愼司小松市長は「木のぬくもり、優しさが、世界の平和や環境問題に役立つはず」と、海外で日本の技術力が発揮されることに期待を込めた。茶室は解体・運搬し、世界各地の茶会イベントでの利用が検討されている。
 隈氏も「海外に木造を広げるため、国連大学とともに、コンテンポラリーアーキテクチャーとして展開したい」と、日本発のサステナブル建築の普及に意欲を見せた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月13日2面行政・団体No.04

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