クレーンで吊られた跨線橋 |
工事は東日本旅客鉄道(JR東日本)千葉支社から2月に受注し、仮設作業ヤードや支障物移転などの準備を進めてきた。東鉄工業の今井英樹所長は「絶対に駅利用者や一般公衆にけがをさせず、列車運行支障や諸設備毀損を防止し、作業員の安全も守るため、細心の注意を払う」ことを肝に銘じ、施工に当たる。
現場ではまず、地盤改良のための薬液注入を施し、狭い場所でも大口径掘削が可能な「TBH(トップドライブリバース)工法」を使い、基礎杭の工事に取りかかった。地下5m付近で礫層が表れ、孔壁崩壊の恐れを伴う予想外の事態もあったが、安全・品質管理に留意し、無事当初のスケジュール内に収めた。
今井所長が「工程管理には特に気を付けている」という背景には、成東駅が通常、車両の滞泊にも使われていることがある。桁の架設日を決め、支障となる車両の移動に数カ月前から調整を要する「5条線閉」手続きが伴うためだ。
このため、架設予定日までに、確実に準備を終えておく必要がある。今井所長は「夜間の架設作業は、当日にスタッフ各人が自分の役割を淡々とこなすだけではなく、ミリ単位の細かい測量や事前打ち合わせなど、そこに至るまでの地道な作業と関係者とのコミュニケーションが大切になる」と語る。線路内での作業を極力減らすため、地組み段階でこ線橋の一部内装を取り付ける工夫も凝らした。
架設工事には、初列車への影響や風雨への対応など、事前に作業中止の判断基準を明確に設定して臨んだ。例えば列車運行に関しては、午前3時の時点で、桁取付けが完了していない場合は、設置をやめてヤードに戻すといったように、作業ごとに分刻みの限界時間を定めた。
主桁を架設した10月16日夜間の作業には約30人を動員。午前1時15分にき電停止し、その後、約1時間で架設を終えた。残る日程も順調にこなし、すべての構造物を所定位置に据え付けた。今後は施設内部の整備などを進め、12月中旬に供用開始する予定だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月21日3面
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