2016/06/08

【ブログコラム】カルガモさん親子を訪ねて 清水建設・技術研究所のビオトープ


びるるん!6月2日、Twitterで清水建設(シミズ・なう @Shimizu_now)さんの技術研究所でカルガモのヒナ4羽が孵化したという一報を受け、同じ「かわいいもの」としてこの目で確かめるべく取材を申し込みました。もちろん、目撃されたカルガモさん親子は泳ぎに出られる程度に育った状態。シミズ・なうさんは「いつお引っ越しするかわかりませんが…」とのこと。カルガモさんと言えばお引っ越しが付きものです。急がねば!(カルガモ写真提供:清水建設技術研究所)

シミズ・なうさんによる速報(Twitter)
 7日、東京都江東区の技術研究所にうかがいましたが、なんとすでにお引っ越しが済んでいました(;´д`)! 研究員さんによると比較的土日にお引っ越しすることが多いのだそうです。もちろん、人間と違って仕事や学校がお休みだからではなく、人気が少なくて移動がしやすいのと、人間がいないためにカラスやサギにヒナが狙われやすくなり、警戒のために移動するのだそうです。
 しょんぼりするびるるんですが、研究員さんがカルガモさんが育つビオトープを案内してくださいました。

ここが屋上ビオトープ「万葉の里」か…

技研のビオトープは屋上と地上の2カ所にあります。「10年後を準備する」ことを目指し、開発計画が生態系ネットワークに与える影響や周辺地域の生物の生息環境に配慮した緑化を考えるための施設です。ビオトープに生息する動植物のデータ収集、導入のシミュレーションなどを行っているのだそう。
屋上ビオトープ「万葉の里」は、万葉集に詠まれた常緑系の植物があり、優雅な雰囲気。

もみじなど、和の趣の植生が多いね
菖蒲だっけ?アヤメだっけ?杜若だっけ…?
小さな小川もさらさらと流れてる!
ここにメダカの赤ちゃんがいたんだけど、見えないね~
小さな小川にはメダカの赤ちゃんが!カメラには映らなかったけれど、春夏秋冬でさまざまな姿を見せるのでしょうね。
視線を上方に移すと、やっぱりここは都会の中の屋上だった

梢の向こうにビル群が見えると、なんだか不思議な気持ちになります。下をのぞき込むとカルガモさんがいた池が見えます!

地上のビオトープを上から
ここから鳥さんなどを激写していたのだ
この監視カメラはもう古くて稼働していないそうですが、こうしたカメラで生き物たちを観察しているのです。

地上のビオトープ「再生の杜」を見学するよ!

緑と土と水のにおいがします
地上の「再生の杜」は、2000㎡の敷地のこんもりとした森。その中を歩くとふっとさわやかな香りが…。こんな都会の中で森林浴ができるものなんですね。鳥のさえずりがよく響きます。

入り口近くのケヤキ
まるい葉がきれいなボダイジュ
オミナエシの他にも秋の七草がありました。コンプリートしているかは確認できず…
大きな樹木から秋の草花まで、多用な植生が見られます。
カルガモさんたちが過ごしていた池は、なんと水中も観察できるのです!お魚も泳いでいるし、貝もいます。

左側にあるのが水中観察用の施設
施設の中からは、こんな風に水中と空中を同時に見られます
びるるん、ぶくぶく沈んでいるつもり
水面にはアサザがつぼみを付けていました。水辺に近づくと虫の声も聞こえます。
浮葉のアサザ。まだつぼみでしたが、もうじき咲きますね

池には7センチくらいのお魚が!カワセミさんもお食事にいらっしゃるそうです
水中観察施設からアサザのつぼみ
いよいよカルガモさんが過ごしていた浮島に接近!浮島は廃タイヤで作られているそうで、廃棄物の再利用も実証する目的があるのだそう。

あれが廃タイヤで作られた浮島です
巣があるのがわかりますか?卵も見えます!
ここ!
巣は浮島の縁にあって、孵化しなかった卵が5、6個残されていました。研究員さんのお話だとカルガモは通常10個ほどの卵を産んで育てます。毎日、次々と産むので最初のうちは温めずにいて、ヒナがだいたい同時に孵化するように工夫するんだって。ただ、今年の親御さんは経験が浅かったのか、すぐに温めちゃったらしくて半分は孵化できなかったのかもしれないとのこと。無精卵もあったかもしれませんが4羽というのは少ないのだそうです。

これはやんちゃなお子さんでしょうか(提供:清水建設技術研究所)

お母さんのあとをしっかり付いていきます!(提供:清水建設技術研究所)
今年のヒナさんは、一羽ものすごくやんちゃで元気なお子さんがおられ、お母さんから離れてダーッとアメンボを追いかけてダッシュしたかと思えば、またダーッとお母さんの所に戻ったりしていたそう。ビオトープはできるだけ野生の状態を保つので、ご飯もあげないし、カラスやサギに狙われても守ってはあげられないのです。でも、たくましく育ったカルガモさんたちはしっかり広い世界に旅立ったことでしょう!

池のほとりの半夏生。お花もついていたよ
水中の小さなお魚。カルガモさんが子育てをするには、このビオトープではエサが足りないのだそう
2007年から毎年、カルガモさんが訪れて子育てをしているそうですが、子育てだけでなく水鳥には都会に休憩所が必要なのだそうで、ビルの屋上や平地に2~3㎡のビオトープを作ると、さっそく大人のカモさんが休憩に来ていたそうです。その地域に元からある植物や生物をきちんと調べ、その環境に合ったビオトープがあると、小さくてもぽつぽつとつながり、いろんな生物にとって役立つ場所になるんですって。「再生の杜」のようにふっとこんもりとした森があると人間もリラックスできる空間になるし、びるるんだってちょっとお散歩したくなるね。すっごくリフレッシュできたよ!

施設の屋根近くにスズメさん。矢印の先にある3個の穴は排水溝だそうですが、
なぜか出たり入ったりを繰り返していました。巣はなさそうですが、遊んでいたのかな?
技術研究所のビオトープは一般公開はしていないけれど、学生さん向けセミナーは開催されています。7月27日に開催される「夏休み高校生セミナー」は申込受付中!ビオトープでの観察実習もありますよ! 詳細はこちら

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