鹿島が岩手県釜石市唐丹町で施工している東北地方整備局発注の国道45号唐丹第3トンネル工事(新岡尚幸所長)の現場で17日、地元小学生と住民を対象とする現場見学会が開かれた。参加者は普段、入ることができない工事現場を興味深そうに見て回った。
見学会は、地域に工事の進捗状況と公共工事を理解してもらうとともに、建設産業に親しみを持ってもらおうと実施。市立平田小学校と栗林小学校の児童や保護者、近隣住民など約90人が参加した。
冒頭、あいさつに立った新岡所長は「工事は、全国から多くの職員が集まって進められている。われわれは、見学会のサポートをさせていただくが、職員に出身地の質問など、ぜひ気軽に声を掛けてほしい」と呼び掛けた。
引き続き、竹市篤史副所長がプロジェクターから壁面に映し出されるスライドなどを使用して、震災復興のリーディングプロジェクトとして整備を進めている同工事を始めとする三陸沿岸道路全体の事業概要、トンネルができあがるまでの過程などについてわかりやすく説明しながら、トンネルを貫通させる喜びや達成感などを伝えた。
この後、新岡所長の案内で児童らが遮水シートへの落書きや濁水処理を体験したほか、盛土量の進捗管理測量に使っているUAV(無人航空機)の現場空撮映像を鑑賞した。
また、トンネルに使われるコンクリート吹き付け機、ホイールローダー、ドリルジャンボなどの試乗も行われた。
このうち、切り羽近くでは、参加者を2ブーム2バスケットドリルジャンボのバスケットに乗せて天井付近まで持ち上げると、滅多にない体験に児童や大人も歓声を上げていた。
児童らを案内する新岡尚幸所長 |
質疑では、児童から「仕事で大変なことは何ですか」と聞かれると、竹市副所長が「けがをしてしまうとみんなが悲しむから、けがをしないことが最も重要だ」とやさしく答えた。
最後に新岡所長が両校にトンネル工事に関する本を寄贈するため、それぞれの代表者児童に「これを読んで、トンネル工事に興味を持ってくれるとうれしい」と手渡した。
見学会に参加した児童は「ダンプに乗れてうれしかった」、住民は「安全対策をしっかり行っていると聞き、とても感心した」と感想を話した。
見学会を終えて新岡所長は「地元の方々に喜んでもらえた上に、応援のメッセージをたくさんいただき、今後の励みになった。残りの工事も安全にできるだけ早く完成させたい」と意気込みを述べた。
同工事は、三陸沿岸道路の一部をなす吉浜釜石道路の釜石南インターチェンジ(IC)~釜石ジャンクション(JCT)間で、長大トンネルと釜石南ICを築造する。
トンネルの概要は、長さ2998m(NATM)。内空断面積は94.9㎡で、掘削断面積は109-126㎡。釜石南ICの盛土量は約130万m3。2015年2月に本格着工し、16年7月にはNATMで施工する大断面トンネルで国内最速となる月進270mを達成した。
現在の全体進捗率は約65%で、トンネルは起点の大曾根側から終点の定内側に片押しで約2560mまで掘り進めており、17年5月の貫通、9月の完成を目指す。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら
0 コメント :
コメントを投稿