2015/05/05

【倉庫リノベ研】芝浦地区に新ビジネスを! 特色生かし地域に密接な提案を図る

東京都港区の芝浦周辺は、2020年東京オリンピック・パラリンピックのベイ・ゾーン正面に位置し、JR山手線新駅の開設、リニア中央新幹線の東京都ターミナル駅計画、アジアヘッドクオーター特区計画など、今後、大規模開発が予定されている。倉庫街の歴史もあり、リノベーションの可能性を持つ施設が各所に点在している。イーソーコ総合研究所、ジョインテックスカンパニー、リソーコの3社が幹事企業として運営する倉庫リノベーション研究会の展覧会とフォーラム「若手建築家5名による倉庫リノベーションの提案」が16日、同区の建築会館で開かれ、倉庫を活用した新たなビジネスが提案された。写真は松井亮氏の「パブリック・ポータビリティ」。

中村真広氏「LOFT FIELD shibaura」
プレゼンテーションを行った建築家は、中村真広(ツクルバ代表取締役CCO)、畝森泰行(畝森泰行建築設計事務所)、松井亮(松井亮建築都市設計事務所)、久保秀朗(前橋工科大学非常勤講師)、中川エリカ(中川エリカ建築設計事務所)の5氏。このうち中村氏の「LOFT FIELD shibaura」は、同地区に呼び込む新産業として、スマートフォンやタブレットで遠隔操作できる無人飛行ロボット「ドローン」に注目。倉庫の高い天井高を活用し、上部にメッシュを敷き、ドローンを自由に飛ばすことができる空間を設ける。倉庫の機能はそのままに収益性を上げることができ、不動産としての価値を向上できるとした。

畝森泰行氏「Shibaura Library」
畝森氏の「Shibaura Library」は図書館への利用を提案した。個人所有の本や写真、企業のデータなどを公開するスペースを設け、「情報を共有し、コミュニケーションを生む」機能の活用を狙う。
 同地区は高層共同住宅が多く、将来的に改修ニーズが高まることが予想される。その時期を見据え、松井氏の「パブリック・ポータビリティ」は住民自らがリノベーションを行うための工房としての利用を目指す。マーケットや学校など公共的用途も導入し、ものづくりの拠点としての役割を持たせる。

久保秀朗氏の「Open-Traffic SOHKO」
久保氏の「Open-Traffic SOHKO」は、首都高羽田線と東京モノレールに挟まれた場所に立地する倉庫をショールームにすることを提案した。中央部分は倉庫機能を残し、外壁側に三角形のショールームをつくり、付近を通過する人にアピールすることで多大な広告効果を生み出す。

中川エリカ氏の「まちを知りたいなら、まずは外に出よう」
単発イベントに利用されることもある倉庫屋上に着目した、中川氏の「まちを知りたいなら、まずは外に出よう」は、屋上を開いて地域活動活性化に貢献することを考えた。垂直に設置した複数の三角形の工作物を立て、そこを起点に園芸教室やマーケット、ミーティングなどができる場をつくる。
 昨年4月に発足した同研究会メンバーでフォーラムを企画した建築ジャーナリストの中崎隆司氏は「芝浦の特色である倉庫を活用しながら、大規模開発ではなく、地域に密接な提案ができるのではないか」と研究の趣旨を語る。同じくメンバーで、会場構成を担当した建築家の西沢大良氏は「街にユニークな点をたくさん作るということが、街の共通の目標になる。この街にしかできない点をつくるということを、それぞれが担う仕事の中で考えていってもらいたい」と今後の展開に期待を寄せた。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿