2012/10/04

隈研吾×坂村健で東大にユビキタス拠点! 大和ハウスが建設費11億円負担

「情報学環・Daiwaユビキタス学術研究館(仮称)」
大和ハウス工業は3日、東京大学にユビキタスネットワーク分野の研究拠点となる建築アーカイブ施設を寄贈すると発表した。創業者の経営理念を受け継ぎ、約11億円を投じて建設するもので「次世代を担う人材育成と学術の発展に寄与したい」(樋口武男代表取締役会長)との思いから決断し2015年の創業60周年記念事業にも位置付ける。
 寄贈施設「情報学環・Daiwaユビキタス学術研究館(仮称)」は地下2階地上3階建て延べ2,709㎡。東京都文京区の本郷キャンパス内に建設する。近く着工し、完成は14年3月の予定。設計は東大大学院工学系研究科教授で建築家の隈研吾氏が担当、ユビキタスコンピューティングの提唱者である同大学院情報学環教授の坂村健氏が監修する。


会見する隈氏(右端)、坂村氏(左端)
同日の記者会見で、樋口会長は「世の中の役に立ち、喜んでもらえる商品開発や事業展開が創業者・石橋信夫の教えであり、ユビキタスアーカイブギャラリーを寄贈することは建築の工業化を初めて手掛けた功績とも一致する」と強調した。
 東大大学院情報学環長の須藤修教授は「日本の貴重な建築技術をデジタルで残す上で、最先端のユビキタスネットワーク環境が整う意義は大きい」と説明した。研究館には地下1、2階に実物大の虚像展示を可能にする吹き抜けの大型ギャラリープレゼンテーションルームや計126席の特別ホールも設ける予定だ。
 隈氏は木や土などの自然素材を使い、庭園部分と一体となった「新しいゲートビルディング」の設計コンセプトを説明するとともに「春日門を入ってすぐの場所性もあり、東大の新しい顔になる」と紹介。坂村氏は館内の温度や湿度、照明、空気の流れなど「空間に存在するモノや人の状況を認識する」ユビキタスネットワークの仕掛けに加え、「建設段階も研究開発の一環として取り組む」ことを明かした。また、同社は06年度から3年間、東大のジェロントロジー(老年学)の講座に計5,000万円を寄付している。建物の寄贈は今回が初めてとなる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月4日 3面

『ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書)』坂村健 著 AmazonLink

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