2012/10/18

構造最適化ツールで形態形成プロセスに挑戦 東京理科大のデジタル・スタジオ

3つの優秀作に残った作品
3Dツールやデジタル・ファブリケーションを学生有志で学ぶ東京理科大学の「デジタル・スタジオ」が、米国アルテア社のユニークな構造最適化ツール「Inspired」を使った形態形成プロセスに挑戦している。
 デジタルスタジオの取り組みは今回で10課題目となっており、今回取り上げるInspiredは設定した塊にmorphogenesisと呼ばれる構造解析をかけて、余分にかかる荷重や負荷をそぎ落とす役割をする。スタジオマスターである建築家の廣瀬大祐氏は「この過程で想像しえない解析結果が得られれば、デザイナーのインスピレーションに構造的観点から貢献ができる」と話す。
 今回、学生は7チームに分かれて2段階の提案競技を行い、3つの優秀作から最終的に1作品を選定する。最優秀作品は実物大のモックアップを、長尺対応の2次元レーザーカッターで制作する。モックアップは、30日から東京都新宿区の明治神宮外苑で7日間開かれる「東京デザイナーズ・ウイーク2012」で一般公開される予定だ。

◇建築領域からも多数参加

 東京デザイナーズ・ウイークは、建築、インテリア、ファッション関連などの企業やデザイナー、学生らが垣根を越えて参加する催しだ。ことしのテーマは「House」と「Play」。
 ここ数年は、建築領域からの参加がめざましく、ことしのショー全体構成のデザイナーとして建築家・藤本壮介氏を起用した。メーン展示の一つである伊藤若冲インスパイヤ展では、竹山聖氏、手塚貴晴+手塚由比氏や平田晃久氏、石上純也氏らが出展する。
 大学参加は、東京大学のデジタルファブリケーション・ラボ(担当教員、小渕祐介氏)と東京理科大学 デジタル・スタジオ(同廣瀬大祐氏)などがモックアップを展示する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月18日14面

Related Posts:

  • 【SCI-arc Japan】築地市場再整備題材にマスタープラン ジャパン・スタジオ開く 米国・南カリフォルニア建築大学(SCI-arc=サイアーク)は、毎年開いている「ジャパン・スタジオ」(スタジオ責任者、ジョン・ボーン氏)をことしも東京・市ヶ谷の法政大学の校舎を拠点に開催した。18人の大学院生が来日してワークショップを実施、東京都中央区の築地市場再整備と東京オリンピック招致を題材に、数チームに分かれてマスタープラン提案を作成した。 生徒の作成したモデル このうち築地市場では、2014年に豊洲への移転が計画されていること… Read More
  • 【自立ロボ】世界初、マルチローター機で空からインフラ点検 産学官で構成する「ミニサーベイヤーコンソーシアム」(会長・野波健蔵千葉大副学長大学院工学研究科教授)と千葉大学は、東京ビッグサイトで開かれた「テクノフロンティア2013」で、インフラ点検用自律飛行ロボットを実演した。 このロボットは、コントローラーで操縦しなくても自動で離着陸できる「完全自律型マルチロータ式電動ヘリコプタ(ミニサーベイヤー)」。橋梁やダムの高所、災害発生直後の現場、放射線下にある地域などを、無人で空から撮影・計測できる。野波教… Read More
  • 【コンクリートカヌー大会】大学勢を抑え石巻工高が初優勝 土木学会関東 土木学会関東支部(福田敦支部長)が主催する「第19回土木学生によるコンクリートカヌー大会」が8月31日、埼玉県戸田市の荒川調整池・彩湖で開かれた。土木コースを持つ全国の大学、高専、高校から36校、46チームが参加し、真夏の湖上で熱戦を繰り広げた。レースのタイムと技術点を総合評価し、出場4回目の宮城県立石巻工業高校が初優勝を飾った。関東地方整備局や日刊建設通信新聞社などが協賛した。 優勝した石巻工業高校 コンクリートカヌー大会は、土木を… Read More
  • 【デジタルデザイン】コロンビア大・スタジオXが多軸レーザー使った「五軸庵プロジェクト」 米国・コロンビア大大学院建築学部の日本研究拠点「Studio X Tokyo(スタジオX)」は、福島県いわき市のシオヤ産業(小野行彦社長)の導入した多軸レーザー加工機を使って、コンピューティショナル・デザインの実大建築ワークショップを行った。このプロジェクトに参加したのは、スタジオXの代表で建築家の廣瀬大祐氏を始め、東京理科大デジタルスタジオのメンバー、中国、英国からのインターンら多国籍なメンバーたち。今回挑戦した「五軸庵プロジェクト」は、デ… Read More
  • 【大学】早大の軽井沢セミナーハウスが竣工 早稲田大学が長野県軽井沢町で進めてきた「早稲田大学軽井沢セミナーハウス新82・82-2号館新築工事」が完成し、現地で竣工式を開いた。基本設計は早大キャンパス企画部、実施設計と施工は清水建設が担当した。浅間山など周辺の雄大な自然環境や景観を施設内に取り込み、訪れる学生の記憶に残るような学生セミナーハウスを目指していく。 神事後の祝賀会で、鎌田薫早大総長は「若者の成長を育み、繰り返し使いたくなる施設に発展することを期待している」とあいさつし、清水… Read More

0 コメント :

コメントを投稿