『キリのキョリのイエ』 |
端正な方形の建物は、道路に面する正面の壁面に大胆とも言える横一文字の開口部を設け、内部の明るい光や雰囲気を外部に漏れ出させる一方、緩やかな上がり勾配をもたせることで歩行者からの視線にも配慮している。
内部空間でも、パンチングパネルを重ねた壁を2階の個室に取り入れることで閉じつつ開くような「家族の気配を常に感じることができる空間」を実現。幾重にも重なるドット状の幾何学模様をつくる壁面を通して、綿密で柔らかい光と影が時間の経過とともに複雑で豊かな表情を醸し出している。
「自然を感じることができる日本古来の住宅の良さを現代の生活にかなう形にデザインする」ことも設計のテーマとした。「できる限り機械に頼らない空調」(小林氏)を実現するため、床下空間をなくし、土間と基礎のコンクリートすべてに地熱を蓄熱させている。中央部を吹き抜けとすることで、パンチングの壁を通り抜けた空気や熱が部屋全体に広がる心地よい空間をもたらしている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月3日5面
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