2012/10/17

災害時は瞬時に汲み取り式に! 水洗とのハイブリッドトイレが登場

ハイブリッド式のプレパレス
昨年3月の東日本大震災では、津波や液状化により下水道管などが被災し、各地でトイレが使えない状況を生み出した。こうした中、災害用トイレなどを手掛ける有備(千葉市花見川区、飯高芳之社長)が開発したハイブリッドTFトイレ『プレパレス』を採用するケースが各地で増えている。
 プレパレスは、底にキャップを設けたFRP製の洋式便器。下水道につながる通常の配管と、地下に設ける便槽につながる配管の双方に汚水を流すことができる仕組みになっている。
 通常時は下水道に流す水洗式トイレとして使用できる。災害時に下水道が使用できなくなった際には、便器底にあるキャップを専用金具で軽く引き抜くだけで、便槽に汚水をためるくみ取り式(上水道が使える場合は簡易水洗)トイレに早変わりする。2010年12月には特許を取得した。
 工事現場などでも使用される仮設トイレについて飯高社長は、平時はレンタルするため事前に備蓄する必要はないとするものの「災害時は搬入まで18時間ほど要する。さらに道路が寸断されてしまうと搬入できる保証もない」と指摘する。
 マンホールトイレを用意していた自治体もあったが、「下水道が機能することが前提であり、東北地方では使えない所が多かった」とも。テントで覆うだけであるため、プライバシー面の課題もある。
 日ごろから使うトイレを災害時も使えることで、プライバシー面などトイレ環境の変化に伴うストレスの軽減にもつながる。
 下水道が復旧した後は、キャップを再度設置するだけで、通常使用に戻すことができる。ため込んだ汚水は、業者がくみ取り・清掃・消毒する。
 改修してプレパレスを設ける場合、一般家庭ではトイレの床下に便槽と、通常用と災害時用の配管を設け、その上にプレパレスを設置する。また、公衆トイレなど業務施設では、便槽の代わりにピット槽を利用することもできる。
 既に東京都内で公衆トイレ2カ所に採用され、順次、プレパレスに改修される予定だ。全国の小中学校や公衆トイレでの採用も相次ぎ決定している。
 さらには災害時に移動が困難な身体障害者や老人、幼児などを抱える障害者施設や老人福祉施設、幼稚園でも設置が進んでいるという。
 現在、設備工事業者、公衆トイレメーカーなど5社の特約店を通して販売しており、今後商社などにも販路を拡大したい考えだ。13年度には一般家庭用にロータンク付きのプレパレスの販売も始める。
 問い合わせは、「有備」千葉市花見川区千種町215-23。電話・043-445-7667。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月17日 5面

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