2012/10/23

伊藤事務所「瞑想の森」の苦心談を披露 中部地区初のBCS受賞作見学会

参加者に説明する東氏(正面左)と伊藤所長
日本建設業連合会中部支部(古厩孝支部長)は、支部管内で初となるBCS賞受賞作品見学会を開いた。名古屋大や名古屋工業大、愛知工業大、中部工業大、名城大、京都大の学生32人が参加し、2007年・第48回受賞の名古屋市西区『トヨタテクノミュージアム 産業技術記念館』と08年・第49回受賞の岐阜県各務原市『瞑想の森 市営斎場』を見学した。
 午前中に訪問したトヨタテクノミュージアムでは、日建連の深田純一中部支部広報委員会主査が「日建連は全国の総合建設会社141社で構成している。主要な事業の一つのBCS賞は、建築の企画・設計・施工・維持管理等を総合評価し、建築主と設計者、施工者の3者を表彰する国内最高水準を誇る、国際的にも特色のある建築賞だ。本日は受賞作品に直に接すると同時に、設計者や施工者の方々から計画に携わった当時の経験を聞き、優れた作品がどのように生み出されたかを知ってもらえるよう企画した。今回は首都圏、関西地区以外では初の開催であり、有意義に過ごしてほしい」とあいさつした。
 トヨタテクノミュージアムでは、飯島修産業技術記念館館長が概要を説明。竹中工務店の北原(料)男設計統括が設計コンセプトと施工概要を解説した。 また、当時設計に当たった因純一竹中工務店設計担当と吉口勝史作業所担当が建物を案内して回り、質問に答えた。

◇空を流れる雲のイメージ

 瞑想の森では、設計チーフだった東建男伊東豊雄建築設計事務所取締役と施工を担当した戸田建設の伊藤智作業所長が、建物のデザインや技術上の特色、苦心談などを説明した。
 トヨタテクノミュージアム産業技術記念館は、建築主が産業技術記念館、設計が竹中工務店。建築施工は竹中工務店、大林組、清水建設、伊藤工務店で04年12月竣工。トヨタグループの先駆けとなる豊田自働織布工場のレンガ造建築群を、「保存」「修復」に選別し、原形保存を試みながら産業と技術の展示施設として蘇らせた。
 3300㎡に及んだ大正期のレンガ壁をRC補強とステンレスピンの縫合で保存。解体材再利用や廃材利用のタイルなど、先進的な省資源対策を実施した。構造はRC・SRC・S・木造2階建て、延べ床面積は2万1733㎡。
 瞑想の森市営斎場は建築主が各務原市、設計が伊東豊雄建築設計事務所、佐々木睦朗構造計画研究所。建築施工が戸田建設・市川工務店・天龍木材JV。06年5月竣工。おおらかな稜線を描く里山を背景に、北側に面した溜池、その上に広がる公園墓地との調和を図った建物は、空を流れる雲が形を変えて敷地を覆うように表現した斬新なファサードを持つ。
 厚さ20cmのRC自由曲面シェル造の大屋根の下に4つの構造コアを置き、それを12本の円錐柱が支える空間構成と意匠デザインや設備構成が特長。複雑で高度な計算処理を行った構造計算や『創意工夫』の施工で克服した細部造形の苦心談が紹介された。
 規模はRC一部S造2階建て延べ2265㎡。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月23日 7面


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