NEOウイーク2012の様子 |
NEOの活動はことしで6年目。仲教授は「これまでオフィスの建築計画は、働ければいいという考え方が主体だった。一方で、職場の生産性を向上させるためには、働く人同士のコミュニケーションや、ナレッジマネジメント、ICTも不可欠だ。このままでいいのか、と感じたさまざまな分野の人たちでNEOを立ち上げた」という。
◇建築以外の人も参加
仲教授 |
NEOでは5年間を通して、オフィス空間のあり方をユーザー、経営、デザイン、社会科学など多角的な目で分析、「働く環境とは?」「仕事自体が面白くなるオフィスとは?」などについて研究してきた。
仲教授は「スペースデザインだけではなく、遊びがあり、出会いがあり、学び、創造性などがあってもよい。内装や什器のような固定概念を超えた、新しい世代のワークプレイスを探求したい」と話す。
◇NEOウイーク2012
9月26日。東京・芝浦のシバウラハウスで、センターの成果発表会も兼ねた「NEO WEEK2012」が開かれた。
会場は5階建てビルの大半を借り切り、1階ロビーでは近所の主婦が料理人から豚肉のソテーの作り方を教わったり、その後方では、イベントに関する打ち合わせが、さらに後方では巨大展示が行われている。あえて“境界"を取り払った。
さらに5階のホールでは、見知らぬ同士の人たちがグループを作って、協働をテーマにワークショップを開く。4日間にわたって繰り広げられるNEOウイークでは、こうした一見雑多なコンテンツで人々のコミュニケーションを探求した。
「今回のNEOウイークは、1つの実験でもある」と仲教授はいう。世の中では、会社や学校、地域など多様多種の組織がそれぞれの枠の内外で活動している。それぞれの組織間には境界があり、そうした境界の中で人々は活動してきた。
「組織、概念、専門分野といった境界を融合させ、分野をつなぐ人々を活性化させるという研究」(仲教授)が今回のウイークのテーマだ。
例えば初日のワークショップは、電機メーカーのデザイナー、大学院生、家具メーカーの設計者らが持ち寄った特技や趣味、技能を最大限に使って「誰でも来たくなる集会所」のフィージビリティースタディーを展開した。
わずか20分という時間内に立案し、付せん紙と模造紙でプレゼンテーション案を作成する。相手の素性も分からない中で、参加した4グループは最終発表までこぎ着けた。立場や組織という“境界"を超えた瞬間でもある。参加者は口々に「新しい体験をさせてもらった」と話す。
NEOの「働ければいい」という無機質なオフィス環境を、人々が有機的につながっていける新たな環境に変える取り組みは続く。
センターの概要は、以下のHPで知ることができる。http://www.neo-rc.com
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月4日 12面
『知的創造とワークプレイス』 AmazonLink
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