NPO法人アートアンドアーキテクトフェスタ(AAF)は、大阪市住之江区の太平洋トレードセンターで、30歳以下の若手建築家7組の建築作品を展示する「30歳以下の若手建築家7組による建築の展覧会」の記念シンポジウムを開いた=写真。会場には学生ら約600人が詰めかけ、熱心に聞き入っていた。
第1部では、出展した建築家7組が自作をプレゼンテーションした。第2部では、出展者の先輩に当たる建築家の五十嵐淳氏、石上純也氏、谷尻誠氏、平田晃久氏、平沼孝啓氏がパネリストとして登壇。建築史・建築批評家の五十嵐太郎氏と建築史家で大阪市立大学准教授の倉方俊輔氏の進行でパネルディスカッションを行った。
「建築で大事にしていること」のテーマに対して五十嵐淳氏は「大きさにかかわらず、普遍的な建築をつくっていきたい」と話した。石上氏は「建築が出来上がった時に、自分が見たことがないものであること」が理想であり「頑張る原動力になっている」と語った。谷尻氏は「建築は完成した日から老いていく。植物のように、日々生まれ変わることはできないのかと追求している」と述べ、平田氏は「単体の建築の原理より、周囲が絡まり合ってつくりだす豊かさに興味がある」とした。平沼氏は「近年肩の力が抜け、自分を客観的に見られるようになってきた。危機感を感じると同時に、自分に合っているのかもと思っている」と話した。
また、出展者へのアドバイスも求められ、谷尻氏は「大きな空間をつくるためには、いかに小さい空間をつくるかだ」と指摘。平田氏は「(第1部の)プレゼンではみんなもっともらしいことを言っていたが、新たな発見がなかった」と苦言を呈し、「建築家は分析家でもなければならない」と激励。五十嵐太郎氏も「建築関係者以外にもアピールできるようになってほしい」と、エールを送った。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月12日11面
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