日揮とベントレーのstaad.foundationとの関係図 |
プラントなどの設計では、プラントに使用する各種機器やパイプなどのデータベース(DB)、それを支えるための基礎設計が必要だ。日揮は基礎の設計に関して、20年前に自社開発でDBや設計システムを構築、運用してきた。一方で、ウインドウズ3・1環境で構築したシステムのメンテナンスや、GUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)を始めとする利用環境の制限についての悩みがあった。
「自社で構築したDBや設計ベースといったノウハウを生しながら、市販の設計ソフトのGUIや拡張性が両立できないものか?」。同社のエンジニアリング本部シビル部では、こうした議論が起こっていた。
プラント基礎の特徴は、基礎数の多さもあり、ケーブルや配管が地中にまで複雑に入り込む。三次元モデルを使った基礎と地下埋設物の干渉チェックも不可欠だ。自社開発システムでも可能だが、日本語環境が必須の利用環境では、海外案件の比率も多い同社にとって、汎用性は大きなメリットだ。そうしてベントレーと「staad.foundation」に機能追加する共同開発プロジェクトがスタートした。2008年に始まった検討作業は、その後社内検討を経て、11年7月から機能追加作業などが始まった。
日揮が実務のワークフローやシステム修正の順位付け、追加すべき機能などを逐次提供し、ベントレー社側でソフトの修正を繰り返す。
ことし8月に、架構用単独基礎と複合基礎については検証作業が完了、海外のプロジェクトで実適用した。
「staad.foundation」の機能追加はPDS、PDMS、SP3Dといった3次元ソフトに数値を連携させ、2次元CADの図面自動出力、機器荷重、アンカーボルト情報など設計DBデータの取り込み、地耐力、ペデスタル設計の自動化などを実現できた。
「できるだけ本業ではない基礎の設計作業を省力化したい」という日揮の考えと、ユーザーの意見を製品に取り入れたかったベントレーの思惑は一致した。
両社は今後、他社も含めたユーザー会などを通して、鋼構造分野全体で使い勝手のよいシステムづくりで連携したいと考えている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月3日10面
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