新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は22日、約1年をかけて千葉県銚子沖に設置した、国内初の着床式洋上風力発電設備を報道機関に初公開した。洋上風力発電の導入普及に向けた実証実験のため、建設を進めていたもので、14日に設置が完了。今後は、試運転、調整などを行い、2013年1月から発電を開始する予定だ。
当日の天候は晴れ。漁船に乗り、銚子沖3㌔に設置した着床式洋上風力発電設備を目指した。波高は1・5-2mで、沖に向かうに従い漁船の揺れが強くなり、何かにつかまってなければ立っていられないほどだ。NEDO新エネルギー部自然エネルギーグループの高橋義行主査によると、「波高2m以上だと設置作業は中止した」という。その設置に当たっては、「SEP船」と呼ばれる専用台船を使用した。船の四隅から脚が伸び、海底を踏ん張りながら台船を押し上げる仕組みで、大型クレーンも搭載していた。
実証実験は洋上風車特有の技術課題などの克服が狙い。暴風・波浪に耐える基礎構造は、鉄筋コンクリート製重力式基礎で、直径は21m。基礎の中には鉄鋼スラグが入っており、重さは約5000t。研究開発は、鹿島が担当した。三菱重工業が開発した風車のナセル(発電機)部分には塩害対策技術が施されている。
陸上、洋上風力発電の導入は世界的に普及が進められている。全世界の11年風力発電累積導入量は陸上が23万3573メガワット時に対し、洋上が4096メガワット時。洋上風力導入量はイギリスが約50%を占め、デンマークが約20%と続き、日本はわずか1割だ。
洋上風力発電は、強勢で安定した風による効率的な発電、土地や道路の制約がなく洋上に適した大型風車の導入が比較的容易、景観や騒音の影響が小さいといったメリットがある。ただ、陸上に比べて設置コストが約2倍のため、今回の実証実験を通じて、関係省庁などにデータを提出し、事業採算性が合うよう、固定価格買取制度の価格設定の際に参考にしてもらう考えだ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月23日 2面
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