2012/10/29

【新技術】清水建設が二重構造で、20m大津波に耐える避難ビルを考案!!

清水建設の提案する「アーチ・シェルター」
清水建設は、大地震や波高20mの大津波にも耐える津波避難ビル「アーチ・シェルター」の設計手法を確立した。楕円形の筒状構造物「アーチウォール」が津波の外力や漂流物などの衝撃から内側のビルを守る。アーチウォール内側のビル「インナービル」は隔壁を設けて津波の進入を防ぎ、約2400人を収容できる。津波避難ビルに対するニーズの高まりを踏まえ、同社は津波対策が必要な地方自治体や沿岸部で事業を行う企業などに提案していく方針だ。
 内部のビルを守る外郭となるアーチウォールは、波力を受け流す楕円形を採用し、漂流物などの衝撃対策としてバルコニー状のリブを設けている。ガラス窓も水圧に耐えられるようポリカーボネートと強化ガラスを組み合わせる。

ビルの構造イメージ
インナービルは免震構造を採用し、平常時は通常のビルとしての利用が可能だ。アーチウォールと底盤、隔壁による完全な独立区画となっているため、ビルの内部に津波は侵入しない。
 建設工事費は、同規模の一般的なビルの約1・5から2倍を見込んでいるものの、避難所や復旧拠点として活用でき、大震災後の事業継続が可能であることなどから、「極めて高い投資効果が期待される」(同社)。
 具体的な施設用途としては、防災拠点となる事務所、医療施設、公共施設、官民合築施設などを想定している。避難訓練などの際には、同社が開発した「津波避難シミュレーションシステム」を活用して、アーチ・シェルター内に効率よく避難できるルートを示すことができる。今後、全国の沿岸部で事業を展開する企業や、高台移転が困難な地域を持つ自治体などに対して、アーチ・シェルターを提案していく方針だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月29日3面

Related Posts:

  • 成田空港にビジネスジェット専用ターミナルが開業  成田国際空港(NAA)は3月31日、首都圏初となるビジネスジェット専用ターミナル「Business Aviation Terminal―Premier Gate(ビジネスアビエーションターミナル―プレミアゲート)」をオープンした=写真。第2旅客ターミナルビル横・南オペレーションセンター1階の1フロア(床面積560㎡)を改装した施設で、専用機を持つ利用者のプライバシーの確保や出入国手続きのスピード化を実現した。  30日に開いた供用記念式典… Read More
  • 武田薬品湘南研究所CMで山下PMCが準グランプリ 国際CMコンクール 武田薬品工業湘南研究所  武田薬品工業湘南研究所 山下ピー・エム・コンサルタンツ(東京都中央区)は、国際CM(コンストラクション・マネジメント)コンクールで、準グランプリを獲得した。7カ国から数10社がエントリーし、武田薬品工業湘南研究所プロジェクトのCM実績で応募した同社は、運営調整も含めた総合的なマネジメントを成功させた手腕が評価された。  コンクールは、日本を始め米国、英国、スペイン、韓国など7カ国のCM協会で構成する「国際CMフ… Read More
  • 入社式、入省式相次ぐ 多くの会社が「グローバル化」を訓辞 清水建設の入社式   建設産業界各社の入社式や国土交通省の入省式が2日、一斉に開かれた。先行きの不透明な状況が続く中、経営トップは「チャレンジ」や「スピード」を期待するメッセージが目立った。海外事業の拡大を目指すゼネコンが多い中、「グローバル化」も重要なキーワードの一つ。また、仕事を円滑に進める上で「コミュニケーション」能力の向上を求める経営者も少なくなかった。 国土交通省での入省式  国土交通省の入省式には、12年度入省の1… Read More
  • 豪州で世界の大学分校を集めたキャンパスシティ 東急電鉄が誘致開始 「インターナショナルキャンパスシティ」のイメージ  東京急行電鉄は、オーストラリア第4の都市・パース近郊に位置する「ヤンチェップ地区」に、各国の大学の分校を集めた「インターナショナルキャンパスシティ」を誘致する。世界に通じる人材を育てるとともに、市街化に先立つ人口集積と雇用創出の起爆剤として、プロジェクトを推進していく。2014-15年にI期施設を整備し、20年の全体完成を目指す。  東急電鉄は同地区の都市開発を30年以上前から手掛けており… Read More
  • 平泉町の中尊寺本堂を耐震補強 大林組の木造建築向け工法(上) 中尊寺本堂  大林組は、伝統木造建築を対象に「スーパー板壁工法」を開発し、世界遺産「平泉の文化遺産」の構成資産である中尊寺本堂(岩手県平泉町)の耐震改修工事に初適用した。施主の中尊寺が「既存の壁配置を変えずに耐震補強できる」独自性を高く評価して受注に至った。工事は順調に進み、3月末に竣工を迎える。大林組の鶴田信夫常務執行役員東北支店長は「平泉は歴史的に当社と縁のある地。今回の事例をアピールし、新工法を全国に広めていきたい」と意義を強調する。… Read More

0 コメント :

コメントを投稿