RCコアでS造トラスを吊り上げる |
大成建設は、津波から人も建物も守る津波対策ビル「T-Buffer」の提案に力を入れている。建物中央部に強固なコア(RC造)を配置し、その頂部から2階以上のトラス状構造体(S造)を吊り上げる。津波による1階部分の柱やガラスカーテンウオールなどの損壊をあえて許容。大型の漂流物が外壁などを壊して内部に流入した場合でも、衝突時に威力が減衰されているため、建物を支えるコアの損傷を防げる。非常時の緊急避難に特化し、用途が限定される津波避難ビルとは異なり、日常的に使用するオフィスや商業施設などに、空間計画の自由度を保ちながら避難機能を付加できる。 T-Bufferは、建物機能の早期復旧を可能にする技術として開発。守る部分と壊れてもいい部分を明確に区分した。津波の波圧や漂流物の衝突により、1階外周の柱が損傷しても、上階外周部に配置したベルトトラスと最上階の吊り材が、建物を支持する。守るべき2階以上の構造体を、損壊を許容する1階フロアと分離している形だ。基礎は杭基礎とし、洗掘に耐えられるようにマットスラブ形式とする。
守る部分と壊れてもいい部分を明確に区分 |
津波漂流物は、基本的に外壁などで食い止めるが、万が一破壊され、建物内部に流れ込んだとしても、外壁が緩衝材となって衝撃力を弱める上、コア自体も頑丈なため、建物が致命的な被害を受けることはない。コアを分散配置して設計の自由度を高めたり、通常パターンを1ユニットとしてとらえ、複数を組み合わせることで大型物件にも対応するなど、用途や規模に応じたアレンジも可能だ。
コスト面については、一般的な建物に対し、構造にかかる費用を2割程度、全体で1割弱の追加投資で建設できるという。
建物外周をらせん状に登れるパターン |
外周部に開口部を設けない閉鎖型の計画で、1階部分には備蓄倉庫を配置。近くに駐車場があるなど、漂流物対策が必要な場合には、周囲に防衝工を巡らす。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年10月30日3面
螺旋階段ですか。デザイン上では、かっこいいですね。
返信削除非常時には、すごく危険なしろものになります。
なぜなら、ドミノ倒しになってしまうからです。
踊り場を装備した折り返い階段の方が安全です!