2017/02/24

【現場最前線】大熊町・双葉町の中間貯蔵施設工事 17年秋の本格稼働へ整備進む


 福島県大熊町と双葉町で2016年11月15日に着工した中間貯蔵施設工事は、今秋の本格稼働に向けて順調に整備が進んでいる。双葉工区では受入・分別施設の約9割、大熊工区では土壌貯蔵施設の掘削作業の約3割が完了した。17年度は、18年度の輸送量90-180m3に対応する受入・分別施設と土壌貯蔵施設の着工などを予定しており、用地取得も着実に進展している。写真は大熊工区の土壌貯蔵施設の掘削作業

 小沢晴司環境省福島環境再生本部副本部長は「両町の新たな未来をつくる土地を福島県全体の復興のため提供していただいたことは大変重要であり、しっかりと取り組んでいきたい」と力を込める。

双葉工区の受入・分別施設

 「平成28年度中間貯蔵施設の土壌貯蔵施設等工事(双葉町)」は、前田建設・奥村組・鴻池組JVが施工を担当。最高高さ15m、隣接する搬出施設も含め延べ計1万㎡の建屋は鉄骨に不燃性繊維でできた膜を張る構造を採用している。建屋内には、運び込まれた除染土壌を取り出す破袋設備や、全長約400mのベルトコンベヤーなどが設置されており、現在は各種機材の備え付けや組立が進む。今後は、薬剤により土壌を調整する改質設備や、放射線濃度に応じて土を仕分ける濃度分別設備を設置する。処理能力は1時間当たり140tで、今春からは正常土を使った初期運転を実施する。
 清水建設・竹中土木・東洋建設JVが施工する「同(大熊町)」では、約6万m3の土壌を埋め立てて長期保管する土壌貯蔵施設の掘削作業が進む。深さ4mのうち、現在までに約1.5mの掘削が完了。掘削後は底部と側部に遮水対策のシートと、土壌の浸出水を効率的に排出する排水層を設ける。並行して調整池や排水処理施設の整備にも取り組む。
 中間貯蔵施設全体の敷地面積は民有地1270ha、公有地330haの計1600haを計画している。そのうち、民有地は1月31日時点で全体面積の66%に当たる約1060haの調査が完了しているほか、17.9%の約287haが契約済み。小沢副本部長は「両町の地権者の方には苦渋の判断をいただいている」と述べた上で、「16年3月に公表した5年間の見通しからすると上方の予想に近く、感謝している」と進捗状況を明かす。第2弾以降の発注も「土地取得の状況を見て、できるだけ早く作業を進めていきたい」と展望する。
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